2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物テルペン合成系遺伝子のオルガネラ特異的発現による物質生産と生理機能の改変
Project/Area Number |
15780068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 憲典 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助手 (20312241)
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Keywords | テルペノイド / イソペンテニル2リン酸 / メチルエリスリトールリン酸経路 / ユビキノン |
Research Abstract |
本年度は、まずIPPイソメラーゼのタンパク質レベルでの発現を確認するために、大腸菌を用いたAtlPP2リコンビナントタンパク質の精製を行った。Hisタグ融合タンパク質として得られたAtlPP2タンパク質を抗原としてポリクローナル抗体の作成を依頼し、シロイヌナズナ野生株ws-2とAtlPP1およびAtlPP2変異株についてウエスタン解析を行った。作成したポリクローナル抗体は、多少目的以外のタンパク質と交叉するものの、32kDaのIPPイソメラーゼの発現を検出可能であった。AtlPP1変異株を用いた場合、野生株と同様なシグナルのパターンを示したが、AtlPP2変異体を用いた場合、野生株で検出される30kDa付近のシグナルバンドの消失が確認された。これらのことから、AtlPP2変異株ではAtlPP2タンパク質が確かに欠失していることが確認された。また地上部と根について発現レベルを比較したところ、mRNAレベルでの発現様式と同様に、根においてタンパク質の発現が強いことも確認された。 次に植物体においてAtlPP2が関わる代謝経路を明らかにする目的で高発現体の作成を行った。AtlPP2 cDNAをCaMV 35Sプロモータにより発現させるコンストラクトを用い、ステーブルなAtlPP2恒常発現シロイヌナズナ形質転換体を得た。これらの形質転換体植物のホモ接合体を分離し、ウエスタン解析によりAtlPP2タンパク質の高発現を確認した。得られた高発現体を用いて、クロロプラストの色素量とミトコンドリアのユビキノン量の定量を行った。その結果、色素量は野生株の1.2倍と多少増加傾向にあるものの、ユビキノン量には変化は見られなかった。現在、AtlPP2変異株でのテルペノイド化合物の合成量変化の確認を進めており、今後AtlPP1の発現様式の確認と高発現体の作成をあわせて行っていく予定である。
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