2003 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリンによるアルミニウムイオン結合の構造機構
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15780072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 公彦 京都大学, 農学研究科, 助手 (40314281)
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Keywords | トランスフェリン / オボトランスフェリン / X線結晶構造解析 / 卵白タンパク質 / アルミニウム / Pichia pastoris / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
トランスフェリンによるアルミニウムイオン結合の構造機構を明らかにするため、オボトランスフェリン(ニワトリ血清トランスフェリン)に、アルミニウムイオンを結合させた複合体を調製し、結晶化を試みた。その結果、PEG(ポリエチレングリコール)400を沈殿剤として用い、蒸気拡散法(シッティングドロップ法)によって良好な結晶を得た。得られた結晶のX線回折データを放射光施設Spring-8(ビームラインBL38B1)で、CCD検出器により収集した。空間群は、P2_1、格子定数は、a=72.4、b=59.5、c=88.1オングストローム、β=95.7°であった。位相の決定は、CCP4(AMORE)を用い、鉄イオン結合型オボトランスフェリンをモデルとして、分子置換法により行った。構造の精密化にはCNSを、モデリングにはTurbo-FRODOを用い、現在、分解能が2.8オングストローム、Rファクターが18%の構造が得られている。その構造は、鉄イオン結合型オボトランスフェリンのものとほぼ同等であり、鉄イオンに結合する全ての残基および炭酸アニオンは、鉄イオンへの結合と同様にアルミニウムイオンに6配位で結合していることが明らかになった。 また、メタノール資化性酵母(Pichia pastoris)を用いてニワトリ血清トランスフェリンを培地中に分泌発現させ、イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行う手法を確立した。発現ニワトリ血清トランスフェリンの糖鎖は、天然のものと異なり、2個のNアセチルグルコサミンおよび主に10個のマンノースからなるNリンク型糖鎖であることが、エンドグルコシダーゼ処理およびマススペクトルによる解析から示唆された。また、発現タンパク質は、天然のものと同様に2つの鉄イオンを結合することが、可視光吸収の測定および熱量計による解析によって明らかになった。
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Research Products
(1 results)