2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリンによるアルミニウムイオン結合の構造機構
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15780072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 公彦 京都大学, 農学研究科, 助手 (40314281)
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Keywords | トランスフェリン / オボトランスフェリン / X線結晶構造解析 / 卵白タンパク質 / アルミニウム / Pichia pastoris / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、アルミニウム結合型オボトランスフェリン全分子のX線結晶構造解析を行った。結晶化するサンプルに含まれるバッファーをTricine, pH8.0からTris-HCI, pH8.0に変更し、より良好な結晶を得た。SPring-8のビームラインBL41XUでX線回折データの収集を行った結果、2.5Åの分解能で、Rsym=10.7%のデータが得られた。昨年度得られた2.8Åのモデルをさらにモデリングし、リファインメントを繰り返した結果、2.5Åの分解能で、Rファクター=19.6%のモデルが得られた。 アルミニウムイオンは、鉄イオンと同様、NおよびCローブのドメイン間のクレフトに、4つのアミノ酸配位子および炭酸イオンを介して結合していた。両ローブ共に、鉄イオン結合型に比べ、アルミニウムイオン結合型は、ドメイン間のクレフトが閉じた構造をとっていた。ドメインの中心間の距離を比べると、Nローブで0.27Å、Cローブで0.41Å、狭くなっていた。ドメイン間が狭くなり、アルミニウムイオンと各アミン酸配位子の距離が調整されることで、トランスフェリンとアルミニウムイオンの結合定数が(低分子リガンドと同様に)保たれていることが示唆された。 昨年度のオボトランスフェリンの発現系の構築に続き、ヒト血清トランスフェリンの発現系の構築を行った。ヒト肝臓由来のcDNAライブラリからヒト血清トランスフェリン遺伝子のクローニングに成功した。さらに、得られた遺伝子をメタノール資化性酵母(Pichia pastoris)に導入した。オボトランスフェリンの発現系と同様、分泌シグナルは、トランスフェリン遺伝子由来のものを用いたが、ヒト血清トランスフェリンの菌体外への発現はほとんど見られなかった。そのため、分泌シグナルを酵母のフェロモン由来のものに組換え、十分な発現量の得られる系の構築を行っている。
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Research Products
(1 results)