2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリンによるアルミニウムイオン結合の構造機構
Project/Area Number |
15780072
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 公彦 京都大学, 農学研究科, 助手 (40314281)
|
Keywords | トランスフェリン / オボトランスフェリン / X線結晶構造解析 / 卵白タンパク質 / アルミニウム / Pichia pastoris / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、アルミニウム結合型オボトランスフェリン全分子のX線結晶構造解析を行った。SPring-8のビームラインBL38B1でX線回折データの収集を行った結果、2.15Åの分解能で、R_<sym>=8.1%の良好なデータが得られた。昨年度得られた2.5Åのモデルをさらにモデリングしリファインメントを繰り返した結果、2.15Åの分解能で、Rファクター=20.6%のモデルが得られた。 アルミニウムイオン結合型トランスフェリンは、鉄イオン結合型とほぼ同様の全体構造を取っていた。また、アルミニウムイオンは鉄イオンと同様にNおよびCローブのドメイン間のクレフトに、4つのアミノ酸配位子および炭酸イオンを介して結合していた。この非常によく似た構造により、アルミニウムイオン結合型トランスフェリンとトランスフェリンレセプターとの結合が可能となり、トランスフェリンがアルミニウムイオンの輸送に係わっていることが示唆された。 昨年度、トランスフェリン遺伝子をヒトの分泌シグナルとともにメタノール資化性酵母(Pichia pstoris)に導入したが、タンパク質の分泌発現が確認できなかったため、シグナルを酵母のフェロモン由来のものに換え同様の実験を行った。その結果、トランスフェリンは培地中に大量に分泌され容易に精製可能であった。分子量測定、N末端分析、円偏向二色性スペクトル測定などを行った結果、組換えタンパク質は天然のものと同様の一次構造、二次構造を保持していることが明らかになった。また、糖鎖は天然のものと異なり、酵母に一般的なハイマンノース型の糖鎖であることが明らかとなった。この糖鎖はEndo-H酵素により、天然の構造を取ったまま容易に切断可能であり、X線結晶構造解析に適したサンプルの調整が可能となった。
|
Research Products
(2 results)