2003 Fiscal Year Annual Research Report
エチレンセンサーたんぱく質ETR1のシロイヌナズナによる発現系構築と構造解析
Project/Area Number |
15780080
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊地 晶裕 独立行政法人理化学研究所, 生体物理化学研究室, 研究員 (90321752)
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Keywords | 情報伝達たんぱく質 / エチレン / ETR1 / 膜たんぱく質 / 形質転換シロイヌナズナ |
Research Abstract |
エチレンは植物ホルモンとして、植物の発生から枯死に至るまでの様々な過程を制御している。そのため、植物におけるエチレン分子の認識機構やエチレンシグナル伝達機構を分子レベルで解明することは、農作物の生産性を向上させることにもつながる。本研究では、シロイヌナズナ由来のエチレン受容たんぱく質であるETR1の大量発現系構築を目的としている。 本年度は、シロイヌナズナ個体を用いたETR1の発現系構築を試みた。 アグロバクテリウムによる方法を用いて、ETR1を強発現する形質転換シロイヌナズナを作製した。ETR1のC末には、発現系構築に成功した後の精製段階で利用できるようにHis-tagを融合させた。形質転換された個体(約100line)より得られた種子を、それぞれMS培地のプレート上に蒔き、明16時間・暗8時間のサイクルで約1ヶ月成長させた。成長した個体から細胞膜画分を得て、His-tag抗体を用いたウェスタンブロット法によりETR1の発現を確認したところ、心配されたco-suppressionは起きずに、形質転換シロイヌナズナにはETR1の強発現が確認された。100lineの中から、もっとも発現量の多いものを選択しようとしたが、その際、それぞれの個体から種子を得るまでに、3ヶ月以上も要することが分かった。このタイムスケールは、ETR1たんぱく質を得る目的からすると極めて不利なものである。 そこで、研究計画段階でも考慮していたシロイヌナズナの培養細胞(T87)を利用した発現構築にも本年度から着手した。培養細胞の場合にもアグロバクテリウムによる方法でETR1の強発現系を構築し、現在、形質転換したT87をカルスから培養細胞にするための培養を始めたところである。この発現系構築に成功すれば、2週間程度で成長した細胞を得ることができるため、個体を用いた場合よりも効率が良いと期待される。
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