2003 Fiscal Year Annual Research Report
光合成を行わない寄生・腐生植物の光センシング系はどの程度保存されているか?
Project/Area Number |
15780088
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡澤 敦司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10294042)
|
Keywords | 寄生植物 / 腐生植物 / 非光合成植物 / 光受容体 / フィトクロム / 光形態形成 / ヤセウツボ / 細胞内局在 |
Research Abstract |
光合成を行わない全寄生植物であるヤセウツボ(Orobanche minor),ネナシカズラ(Cuscuta japonica),および,ギンリョウソウ(Monotropastrum globosum)と,腐生植物であるツチアケビ(Galeola septentrionalis)からの赤・遠赤色光受容体フィトクロム相同cDNA(PHYA)の単離に成功した.これらのcDNAがコードするアミノ酸配列はシロイヌナズナのPHYAと約70%の配列類似性を示した.また,これらの配列を光合成植物中の既知の26種のPHYAと比較したところ,かなりの部位で光合成植物中では保存されているアミノ酸残基が非光合成植物中で変化していることが示された.また,それらの変化部位はN末端側のphytochromeドメインで最も顕著に観測できた.また,O.minorのフィトクロム相同mRNA(OmPHYA)の発現をリアルタイムRT-PCRで定量したところ、明所で育てた場合と比較して暗所で育てた場合にその発現量が多いことが明らかになった.さらにOmPHYAとsGFP(S65T)の融合タンパク質をシロイヌナズナのプロトプラストおよびタマネギの表皮細胞で一過性に発現させ,その細胞内局在を蛍光顕微鏡観察によって調べた.OmPHYAはシロイヌナズナのPHYAと同様に,暗所においては細胞質中に存在しているのに対し,遠赤色光の連続光下では核に局在することが明らかとなった.従って,OmPHYAは光合成を行わない寄生植物O.minorにおいても光形態形成に関わっていることが示唆された.
|