2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳化剤の自己組織体を利用した水、油脂のエマルションゲル化に関する研究
Project/Area Number |
15780098
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助手 (80313469)
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Keywords | 乳化剤 / エマルションゲル / トリグリセリド / 自己組織体 / 可溶化 / キュービック相 / 相図 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
オクタ(オキシエチレン)ドデシルエーテル(C_<12>EO_8)水溶液にグリセリントリオクタン酸エステル(GTO)を添加したときの相挙動を求めた。水-C_<12>EO_8軸上ではミセル、ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶の各相が現れたが、GTOを可溶化させることによりミセル相とヘキサゴナル相からキュービック相に転移することが分かった。また、界面活性剤高濃度領域ではヘキサゴナル相からラメラ相へと変化した。界面活性剤膜の曲率はミセル(キュービック相)、ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶の順に小さいため、界面活性剤低濃度では曲率は大きくなり、高濃度では小さくなる。キュービック相の油含有量と融解温度の関係を調べたところ、融解温度は油含有量が増えると急激に上昇することが分かり、熱安定性が油含有量により制御できることが分かった。ヘキサゴナル液晶とラメラ液晶の構造変化を小角X線散乱測定により調べた結果、GTOは主に会合体中心部へ可溶化されることが分かった。キュービック相に可溶化限界を越えてGTOを加えるとキュービック相と過剰の油相の2相平衡状態になる。GTOの系全体中での割合が70〜90%のとき、キュービック相の融解温度以上である80℃において十分に撹拌し、常温へ冷却することにより、キュービック相のマトリックス中に油滴が取り込まれた高粘性のエマルション(エマルションゲル)が得られた。油をグリセリンドリデカン酸エステル(GTD)、グリセリントリヘプタン酸エステル(GTH)に替えたときのそれぞれの系におけるキュービック相の形成組成変化を調べたところ、GTH系ではキュービック相中の油相の割合が高くなったが、GTD系はGTO系とほぼ同様の組成において形成された。
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