2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゴマ油からの極微弱発光現象の解明と発光計測による抗酸化性評価法の確立
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15780106
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Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
萩原 昌司 独立行政法人食品総合研究所, 食品工学部, 主任研究官 (00353970)
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Keywords | ゴマ / 焙煎ゴマ油 / 抗酸化性 / 熱酸化安定性 / 極微弱発光 / 化学発光 |
Research Abstract |
近年、ゴマリグナン(セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノール等)の機能性が注目されている。焙煎ゴマ油は、焙煎工程によりセサモリンがセサモール変化することで、極めて高い酸化安定性を示すことが知られている。この抗酸化性(酸化安定性)を評価する方法として他の食用油同様に過酸化物価(POV)の上昇時間で評価するAOM試験やCDM試験が用いられている。通常の食用油では、ほぼ1日以内で測定が終了するにもかかわらず、ゴマ油の測定では7〜10日を要しており、簡便かつ迅速に製品の抗酸化性を評価する独自の計測方法の確立が望まれている。 本年度は、焙煎ゴマ油の極微弱発光計測による品質評価を目的として、ゴマ油からの発光現象を詳細に検討した。まず、原料ゴマ種子の焙煎度合いを変化させて作製したゴマ油の発光現象を計測し、色度や微量成分が発光に及ぼす影響について検討した。また、焙煎ゴマ油の品質変化が極微弱発光に及ぼす影響を明らかにするため、加熱、通風により強制的に劣化させたゴマ油の発光計測および成分分析を行った。さらに、長期貯蔵製品の成分分析、発光計測も行い品質評価の可能性を詳細に検討した。 焙煎ゴマ油からの極微弱発米計測および成分分析の結果、以下のことが明らかになった。1)原料種子の焙煎により、ゴマ油に含まれる微量成分のセサモール量が増加し、極微弱発光量も多くなる。2)加熱劣化時(120℃処理)の焙煎ゴマ油は、初期劣化時に極微弱発光量が減少することが確認された。これは抗酸化性の高い焙煎ゴマ油に特有の発光現象であることが明らかになった。3)焙煎ゴマ油の長期貯蔵において、貯蔵に伴い発光量が減少することが確認された。 以上より、劣化により減少する自発極微弱発光を利用した焙煎ゴマ油品質評価の可能性が示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 萩原昌司, 兀下伸二, 関圭吾, 齋藤高弘, 志賀徹, 大谷敏郎: "焙煎ゴマ油の焙煎温度および品質劣化が極微弱発光現象に及ぼす影響"日本食品科学工学会誌. 50巻(7). 303-309 (2003)
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[Publications] 萩原昌司, 兀下伸二, 関圭吾, 齋藤高弘, 志賀徹, 大谷敏郎: "焙煎ゴマ油の極微弱発光による品質評価"日本食品科学工学会創立50周年記念第50回大会講演要旨集. 36 (2003)
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[Publications] 萩原昌司, 齋藤高弘, 高橋大輔, 伊藤勝行, 志賀徹, 大谷敏郎: "新規微弱発光(XYZ系微弱発光)による精米品質評価の可能性"2003年度農業施設学会大会講演要旨集. 80-81 (2003)
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[Publications] 齋藤高弘, 萩原昌司, 高橋大輔, 大谷敏郎, 志賀徹: "新規微弱発光を用いた過酸化生成物の評価手法の確立"農業環境工学関連5学会大会2003年合同大会講演要旨集. 324 (2003)
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[Publications] 齋藤高弘, 高橋大輔, 伊藤勝行, 志賀徹, 萩原昌司, 大谷敏郎: "XYZ系活性酸素消去発光を用いた活性酸素評価法の開発-精米の品質評価の可能性-"XYZ系活性酸素消去発光研究会第3回大会講演要旨集. 22-24 (2003)