2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780110
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 陽子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00302597)
|
Keywords | モミ / 孤立木 / 交配 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
本研究は、暖温帯の主要な森林構成樹種であるモミが、森林の分断化によってその繁殖にどのような影響を受けるかを明らかにすることを目的として、本研究ではモミ孤立木の種子生産の実態を把握し、また人工交配により自家受精の可否や花粉親の選択性について明らかにするものである。 本年度はモミの立木の交配実態について明らかにするため、最も近い個体との距離が1.2m〜1271.9mとさまざまな距離にある22個体について球果を採取し、一個体当たり1〜2個の球果の有胚率を求めた。その結果、球果ごとの有胚率は3.5%〜72.5%であった。個体ごとに求めた平均有胚率と最も近い個体との距離の常用対数値との間に有意な負の相関が見られ(P<0.001)、近隣個体との距離が遠いほど有胚率が低くなることが明らかになった。したがって、モミの孤立木は健全な繁殖が阻害されていることが示された。 また、昨年度開発した17の核SSRマーカーのうち、バンドが明確で多型がありヌル対立遺伝子を持たないと考えられる4マーカーとトドマツで開発された核SSRマーカー7マーカー、さらにクロマツで開発された葉緑体SSRマーカー2マーカーが実際の分析に有効であることを明らかにした。 高所作業車を用いた人工交配実験では、3母樹を対象に7個体の花粉を人工的に受精させたが、樹上の交配袋を動物に破損されるなどの問題が生じたため失敗であった。
|
Research Products
(2 results)