2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15780110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 陽子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00302597)
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Keywords | モミ / マイクロサテライトマーカー / 孤立木 / 個体間距離 / 自殖率 |
Research Abstract |
本研究では、暖温帯の主要な森林構成樹種であるモミが、森林の分断化によってその繁殖にどのような影響を受けるかを明らかにすることを目的とし、個体間距離が繁殖に及ぼす影響を明らかにするため、成木密度の異なる林分内あるいは孤立しているモミ成木の種子生産の実態把握を試みた。 東京大学千葉演習林内およびその周辺の天然モミ林分内に生育しているモミ成木のうち、最も近い個体との距離が2.8m〜1271.9mとさまざまな距離にある13個体から球果を2004年に採取した。採取した種子をインキュベータ内で発芽させ、1母樹当たり6〜37個体、計202個体の実生を、本研究で開発した核SSRマーカー3座(Saito et al.,2005)とトドマツで開発された核SSRマーカー5座、さらにAbies nordmannianaで開発された核SSRマーカー1座、クロマツで開発された葉緑体SSRマーカー2座を用いて解析し、単純排斥法により自殖率を求めた。その結果、母樹ごとの自殖率は0%〜66.7%であり、最も近い個体との距離の常用対数値との間に有意な負の相関が見られ(r=0.6810,p=0.0103)、近隣個体との距離が遠いほど自殖率が高くなることが明らかになった。また昨年度、球果の有胚率は近隣個体との距離が遠いほど、有意に低くなることを明らかにしている。これらのことから、モミの孤立木は、他個体の花粉の不足により、健全な繁殖が阻害されていることが示された。また、モミは一定程度自殖を行うことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)