2003 Fiscal Year Annual Research Report
渦鞭毛藻シストの発芽モニターによる個体群形成過程の解明―特に有毒種を対象として―
Project/Area Number |
15780132
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石川 輝 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00273350)
|
Keywords | 渦鞭毛藻 / シスト / 発芽 / Alexandrium / 栄養細胞 / 英虞湾 |
Research Abstract |
有毒渦鞭毛藻のAlexandrium tamarenseやA.catenellaは生活史の一時期に休眠して不適な環境を海底上で生残するステージ(以下シストと呼ぶ)を形成する.シストは栄養細胞増殖の種(たね)としての役割を果たすため,個体群動態を解明するためにはシストの発芽動態を把握することが必要不可欠である、本研究では現場海底泥上における発芽細胞を直接捉える手法を開発し,Alexandrium属シストの現場海底における発芽を季節的に追跡する.その結果と栄薬細胞群集の季節消長ならびに環境要因(水温や光強度,日長など)との詳細な関係を解析し,栄養細胞群集の形成機構を明らかにすることが本研究の最大の目的である. 今年度は,まず,この研究目的を達成するために最も重要な事項である「現場海底泥上における発芽細胞を直接捉える手法」の開発に取り組んだ.計画立案当初は,潜水法を用いた方法を採用する予定であったが,調査点の水深や海底地形ならびに海況によっては危険を伴うため,潜水をしない別の手法を開発した.すなわち,採取した海底泥を透明な筒状の容器に移しこれを現場海底に沈めて一定時間設置し,この容器の中に発芽した細胞を捉えるという装置(現場発芽細胞捕捉チャンバー)を作成した.数回にわたる予備調査試験によって,本装置の調査精度は非常に高いことが確かめられた. 現在,英虞湾におけるA.catenellaを対象に,本装置を用いて発芽細胞の実測調査を行っている.これと併せて,水中にプランクトン群として出現する本種栄養細胞の季節消長を調べ,また水温,水中光強度や栄養塩といった物理化学的環境要因を測定している.今後もこれらの現場調査を継続して行い,データを蓄積していくことによって,最終的にシスト発芽による栄養細胞群集の形成過程を解明することができるものと期待される.
|
Research Products
(1 results)