2003 Fiscal Year Annual Research Report
農村における自然再生事業による生物多様性の保全に関する経済評価
Project/Area Number |
15780152
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田中 裕人 東京農業大学, 国際食料情報学部, 講師 (00339095)
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Keywords | 自然再生事業 / 環境保全 / 環境ボランティア / ラムサール条約 / マングローブ / 環境評価 |
Research Abstract |
本研究は、沖縄県那覇市と豊見城市の漫湖を対象にして、環境保全に関する研究を行った。漫湖は、国場川の河口に形成された泥の干潟であり、ラムサール条約に登録されるとともに、日本の重要湿地500にも、選定基準2、3、4で選定されている。漫湖は渡り鳥の飛来地として重要な役割を果たしているが、確認種数及び確認羽数ともに減少傾向を示している。 平成15年9月上旬に、環境省漫湖水鳥・湿地センター及び沖縄大学にて漫湖に関するヒアリング調査を行った。その中でも特に興味深いこととして、漫湖は数年間でマングローブ林が繁殖して、ゴミの不法投棄、渡り鳥の生息地面積の減少、土砂の堆積、水質の悪化等の問題が発生していたことが明らかになった。 以上のことをふまえて、漫湖の環境保全について、渡り鳥を含む生態系、マングローブ林、教育効果、ボランティア等に関するアンケート調査を実施した。アンケートは、郵送法で実施した。まず、漫湖周辺の地区を対象にして、対象となる郵便番号の区域を選択した。その後、その選択した郵便番号の中から、調査する世帯を無作為に抽出した。 その結果は以下に示すとおりである。ラムサール条約自体を知っているという回答は約9割、漫湖がラムサール条約に登録されたことを知っているという回答は約7割になった。漫湖の生態系は「保護されている」という回答は約4割、「保護されていない」という回答は約4割を占め、漫湖の生態系の保護については、各個人で認識が異なっていた。漫湖のマングローブ林の伐採に関しては、「すべて残した方がよい」も「一部は伐採した方がよい」も約5割であり、マングローブ林の伐採についても意見が分かれた。
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