2003 Fiscal Year Annual Research Report
温度勾配チャンバを用いた高CO_2および高温によるイネ葉老化過程の遺伝子発現解析
Project/Area Number |
15780169
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
岩渕 桂子 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 東北農業研究センター・地域基盤研究部, 主任研究官 (20355275)
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Keywords | イネ / 大気二酸化炭素増加 / 光合成 / 老化 / 光化学系 |
Research Abstract |
本研究では、同一空間内で連続的な温度勾配を実現できる自然光型温室を用いて、僅かな気温のシフトおよび高CO_2濃度の組み合わせがイネの葉の老化に与える影響を解析した。実験は、CO_2濃度を外気と同じ(対照区)か外気+200ppm(高CO_2区)に設定した2棟のチャンバー内で、高温区(外気+2℃)、中温区(外気と同等)、低温区(外気-2℃)の処理を行った。品種はあきたこまちを用い、5月10日出芽、6月13日に6Lのポット当り2個体ずつ移植した。施肥窒素は、0.6gN/株とした。葉齢13葉および14葉頃に、12葉および13葉の光化学系IIのFv/Fm値およびSPADを、葉齢14葉頃に、13葉および14葉の光合成速度をLI6400(Licor社)により測定した。それぞれの試験区の主幹の出穂直後に生育調査およびSPADを測定した。 イネの地上部乾物重は僅かに高CO_2区で対照区よりも高くなる傾向を示したが、個体当りの緑葉の葉面積はいずれの温度処理においても高CO_2区で小さくなった。第12葉のFv/Fm値は、13葉期には対照・高温区で高CO_2・高温区よりも高かったが、14葉期には共に低下した。第13葉では処理区による差はあまり見られなかった。SPADはいずれの葉齢でも高CO_2の影響は明らかではなかった。各個体における13葉と14葉の光合成速度を比較すると、14葉はCO_2区で対照区より高く、13葉ではあまり差がない結果となった。これらから、高CO_2濃度下の特に高温下では葉齢に伴い光合成速度が大きく低下することが確認された。また、初期のFv/Fmは高CO_2・高温区で対照・高温区よりも高かったものの、その後低下し対照区と差が無くなったことから、光化学系でも同様に光合成活性の低下が生じていることが観察された。
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