2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルムホルツ共鳴現象を利用した農産物・食品の空隙率非破壊評価法の開発
Project/Area Number |
15780172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西津 貴久 京都大学, 農学研究科, 助手 (40228193)
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Keywords | ヘルムホルツ共鳴 / 粒体 / 空隙 / 流れ抵抗 / ホイップ / 泡沫 / 吸音 / 音響インテンシティ |
Research Abstract |
0.2〜10mm径のガラス柱,玄米,籾,大豆,小豆の堆積物をヘルムホルツ共鳴器の管口部をふさぐように設置しながら共鳴周波数を測定した.そして,空気桂振動の阻害は、粒体間隙を通過する際の抵抗が原因であると考え,風速1m/sの空気流れの中に,上記堆積物を設置した時の圧力損失を計測する通気抵抗計測を行い,上記抵抗を代表するパラメータとして流れ抵抗値(単位:Ns/m^4)を算出した. ヘルムホルツ共鳴は,バネ-質量系の機械系振動に置き換えて考えることができる.空気柱の変位は非常に小さく空気流速がゼロに近いため,その際の抵抗は粒体堆積物の通気に関するダルシー則に従って,速度に比例するものと考えられる.これを機械系に置き換えると,粘性減衰力が作用する1自由度の振動系になる.この機械系をモデルとして導出した共鳴周波数と粘性抵抗の理論式は,計測データの傾向とよく一致し,また堆積粒体の種類を問わず同じ曲線上に計測データがプロットされた.以上から,共鳴周波数の支配因子は流れ抵抗,すなわち通気抵抗であることが明らかになった. 音響インテンシティ装置を用いて,みかけの吸音率を計測する簡易な計測系を試作し,これを用いて生クリーム及び卵白のホイッピング過程での吸音率の計測を行った,ホイッピング過程では,クリームあるいは卵白のみかけの体積が単調に増加するにもかかわらず,ヘルムホルツ共鳴周波数はいったん減少してから増加する.ホイッピング初期に気液界面に存在する大きな泡沫が振動するために音響エネルギが散逸し,共鳴器内の空気の圧力変動が断熱変化から等温変化に近いポリトロープ変化になるために、共鳴器内の空気の体積弾性率が小さくなって,共鳴周波数が減少するものと考えられる.吸音率の計測結果より,共鳴周波数の落ち込みと吸音率が最大になる点が一致し,この推論が妥当であることが裏付けられた.
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