2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルムホルツ共鳴現象を利用した農産物・食品の空隙率非破壊評価法の開発
Project/Area Number |
15780172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西津 貴久 京都大学, 農学研究科, 助手 (40228193)
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Keywords | ヘルムホルツ共鳴 / 粒体 / 空隙 / 流れ抵抗 / 粘性減衰 / 1自由度振動系 / 泡沫 / 音響インテンシティ |
Research Abstract |
多孔質体にヘルムホルツ共鳴法を適用した場合,その音響系を粘性減衰力が作用する1自由度の振動系で等価的に置き換えたモデル式を提案しているが,これは音響管内の空気柱の変位が非常に小さく空気流速が極めて小さいために,気柱が受ける抵抗がダルシー則に従って速度に比例することを前提としている.この際の空気流速は粒子速度に相当するが,音圧を80dB(=0.2Pa),空気中の音速と密度をそれぞれ340m/s,1.184kg/m^3とした場合,粒子速度は0.0005m/sとなる.所有する風速計及びマノメータの性能限界から,昨年度の通気抵抗計測実験では風速1m/s程度の風量を用いざるを得ず,粒子速度理論値に対して実に2000倍程度の隔たりがあった.本年度は,マスフローコントローラと微差圧計を用いて計測系を組みなおし,風速を0.042m/sまで低下させて計測を行った.昨年度と同様に0.2〜10mm径のガラス球,玄米,籾,大豆,小豆,コーンの堆積物を用いて計測した結果,計測データの傾向は提案モデルとよく一致し,共鳴周波数の支配因子は流れ抵抗であることが明らかになった.本理論とその計測結果について,ベルギーで開催された2004年農業工学ルーヴェン会議(2004年9月9〜18日)で発表を行った. 本方式の実用化を考えた場合,計測中の雰囲気条件の変動に対する補正が重要になってくるため,ブランク計測不要の簡便な方法の検討もあわせて行った.共鳴器本体に小共鳴器を付加すると2自由度振動系となる.そのときの二つの共鳴周波数の比をとると,雰囲気条件に係るパラメータ(空気の密度比熱比)をキャンセルすることができる.補正効果の確認のために,気温5〜25℃,相対湿度40〜80%の範囲で変化させて体積推定計測を行ったところ,雰囲気変動による誤差を,補正なしの場合と比較して約10分の1程度まで減少させることができた.
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