2004 Fiscal Year Annual Research Report
カゼインホスホペプチドのIgA産生増強作用に関与する細胞及びレセプター分子の解明
Project/Area Number |
15780174
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河原 岳志 信州大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30345764)
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Keywords | カゼインホスホペプチド / IgA / マイトージェン / Toll-like Receptor / インターロイキン6 |
Research Abstract |
本研究は、乳カゼインのトリプシン消化により生じる機能性ペプチド「カゼインホスホペプチド(CPP)」の免疫増強作用に関与する受容体の特定を目的として以下の知見を得た。 まず、マウス脾臓細胞培養系においてCPPに直接作用するサブセットを明らかにするため、磁気細胞分離システム(MACS)を用いて、CD4^+、CD8^+、CDI9^+の細胞集団をそれぞれ分離し、各集団に対するCPPの作用について検討を行った。その結果、特にCD19^+細胞集団の細胞増殖応答およびサイトカイン発現(IL-6等)に有意な促進作用が観察され、これらの作用がCPPのIgA促進作用に重要な影響を果たしているものと推察された。 そこで、同様の作用を持つB細胞マイトージェンの受容体であるToll-like receptor (TLR)に着目し、TLR2、TLR4、TLR9のシグナル伝達阻害抗体存在下でのCPPの作用について検討を行ったところ、抗TLR4抗体存在下では細胞増殖応答、サイトカイン発現がともに阻害されることが明らかとなった。CPPの活性に対するTLR4の関与は、TLR4に遺伝的点変異をもち、シグナル伝達を欠損しているC3H/HeJ系マウス脾臓由来のB細胞培養系においてCPPの作用が観察されないことからも示唆された。 TLR4はグラム陰性細菌の構成成分であるリポ多糖(LPS)の受容体として知られており、試料中のLPS混入により、誤った報告が過去に多くなされていると指摘されている背景がある。そこでLPSの活性阻害物質であるポリミキシンB存在下でのCPPの作用についてさらに確認を行ったところ、活性に影響は観察されないことが示された。また、本実験で用いた試料をLPS検出試薬であるリムルステストで試験した結果も陰性であり、本研究結果が試料へのLPSの混入によるものである可能性は低いものと推察される。
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Research Products
(6 results)