2004 Fiscal Year Annual Research Report
ずり応力による血管内皮細胞の活性酸素産生とアテローム性動脈硬化発症の関連
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15780184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丹羽 光一 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (20301012)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 動脈硬化 / 活性酸素 / エンドサイトーシス / ずり応力 / コレステロール |
Research Abstract |
動脈硬化は血管内皮細胞の下部にコレステロールが蓄積することで発症するが、血管内皮細胞を介した血管壁へのコレステロール輸送機序はいまだ不明である。本研究は、血流によるシェアストレス(ずり応力)が血管内皮細胞のコレステロールの取り込みを調節する際の細胞内シグナルを解明し、血管病の治療および予防法の開発に役立てることを目的としている。前年度(平成15年度)において、申請者は培養血管内皮細胞にずり応力を負荷すると内皮細胞のコレステロール取り込みの主要な方法であるピノサイトーシスが活性化すること、そしてこの活性化の細胞内シグナルとして活性酸素とプロテインキナーゼC(PKC)が関与していることを見い出した。そこで本年度は活性酸素産生とPKC活性化が細胞内でどのような関係にあるかを検討した。 活性酸素とPKCの関係を調べるために、PKCの活性化に対する抗酸化剤の影響を調べた。ずり応力によってPKCが活性化することが確認され、この活性化は抗酸化物質であるNACおよびNADPHオキシダーゼ阻害剤であるアセトバニロンによって抑制された。次にずり応力による活性酸素の産生に対するPKC阻害剤の効果を調べたところ、ずり応力によって活性酸素産生は増加し、この増加はPKC阻害剤により影響を受けなかった。以上の結果から、(1)ずり応力による内皮細胞のピノサイトーシス活性化は活性酸素とPKCによって調節されていること、(2)PKCは活性酸素産生の下流で活性化されること、および(3)ずり応力による活性酸素の産生はNADPHオキシダーゼに由来していること、が明らかとなった。本研究により内皮細胞のシグナル伝達に関する新たな知見が得られ、抗酸化剤を摂取すること血管壁へのコレステロール蓄積を阻害し、動脈硬化を予防することができる可能性が強く示唆された。
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Research Products
(3 results)