2003 Fiscal Year Annual Research Report
難分解性農薬成分を分解する微細藻類に関する研究―微生物資源として―
Project/Area Number |
15780205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 重人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10313074)
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Keywords | 難分解性農薬 / アトラジン / 分解 / ラン藻 / Plectonema radiosum / 分解酵素遺伝子 / スクリーニング |
Research Abstract |
本年は、トリアジン系化合物のアトラジン(除草剤)を対象に、すでに分解能力があると見込まれていたラン藻Plectonema radiosum NIES-515による分解率の測定、分解酵素遺伝子の検索、および他の分解微細藻類のスクリーニングを行った。 P.radiosum NIES-515は、単一炭素源としてアトラジンのみを加えた無機培地にて、暗条件下で生育できることが予備試験により確認されていたが、その生育速度は小さく、そもそも分解率は高くないと予想されていた。実際にガスクロマトグラフィーにより測定された分解率はやはり低く、培養によるアトラジンの減少はわずかに示されたものの、減少幅は誤差の範囲であった。また、既知のアトラジン分解酵素の遺伝子atzA〜C(ごく一部の細菌のもの)を標的としたPCRにて本株より得られた増幅産物をクローニングし、塩基配列を解読した結果、atzA〜Cに相同な遺伝子は検出されなかった。以上より、P.radiosum NIES-515は既知のものと類似した分解酵素をもたないこと、また、たとえ新規な分解酵素を有していても、分解生物としての有効性は低いことが示された。そのため、新たな分解生物のスクリーニングに重点を移した。 アトラジン分解藻類のスクリーニング対象として、まずは土壌藻類を対象とした。現在までに、単一炭素源としてアトラジンのみを加えた無機培地中で、暗条件下にて半年以上も生残するラン藻(未同定)が得られているが、やはり生育速度が小さい。今後は、アトラジン以外の農薬成分も加え、また水圏の微細藻類も含め、より分解速度の大きい微細藻類の獲得を目指す。効率的な分解株が得られ次第、本年度に行った方法にて分解率を測定し、分解遺伝子の有無を確認する予定である。
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