2003 Fiscal Year Annual Research Report
重金属汚染土壌の修復を目的とした高等植物の硫黄代謝系有用遺伝子資源の開発
Project/Area Number |
15780211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
片岡 達彦 独立行政法人理化学研究所, コンパートメンテーション研究チーム, 研究員 (50360524)
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Keywords | 重金属耐性 / 植物 / アラビドプシス |
Research Abstract |
本研究は、重金属耐性に関わる高等植物の有用遺伝子資源の単離および機能解析を目的としている。重金属のうち特に、セレン(Se)、クロム(Cr)については、硫酸イオン(SO_4^<2->)トランスポーターから植物体内に吸収されることが知られていることから、代謝およびトランスポーターを介した、新規の重金属耐性メカニズムの解明を目指している。高等植物の遺伝子ソースに、モデル植物であるシロイヌナズナの発現ライブラリーを用い、硫酸トランスポーター欠損株の酵母を利用するスクリーニング方法を確立した。実際には、同植物由来のcDNAライブラリーを形質転換した組み換え体の酵母について、硫酸イオンのアナログであるセレン酸(SeO_4^<2->)やクロム酸(CrO_4^<2->)を含む培地上で、スクリーニングを行った。硫酸イオントランスポーターが組み込まれた酵母は、これらの重金属を速やかに体内に取り込み、増殖することなく死滅することになる。しかしながら、ライブラリー由来の重金属耐性遺伝子を持つ酵母では、分裂・増殖の結果、コロニーを形成するため、容易に選抜が可能となる。本スクリーニングにより、50個の耐性クローンが選抜され、配列を解読し、同定を行った結果、9つについては、耐性に関わることが期待された。現在、改めて形質転換を行うことにより、耐性能を確認しているところである。確認された遺伝子については、今後、酵母のみならず、シロイヌナズナも用いることにより、重金属耐性機能の解析を推進していく予定である。
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