2003 Fiscal Year Annual Research Report
老化過程におけるタンパク質分子間架橋形成酵素トランスグルタミナーゼの生理機能解析
Project/Area Number |
15780214
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (90346122)
|
Keywords | トランスグルタミナーゼ / 翻訳後修飾 / ベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ / 老化 / 架橋形成 / アミン導入 |
Research Abstract |
1.試験管内でのトランスグルタミナーゼ(TGase)修飾による基質タンバク質機能改変の解析 これまでの研究でTGaseの基質として既に見いだしているベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(BHMT)をブタ肝臓より精製し、試験管内でモルモット肝臓由来TGaseを用いてアミン基質導入試験を行った結果、BHMT 1サブユニット当たり少なくとも2残基の反応性グルタミン残基が存在することが示唆された。アミノ酸配列解析および質量分析によって反応性グルタミン残基の同定を行った結果、BHMTのC末付近の2ヶ所の連続するグルタミン残基にアミンが導入されることが明らかとなった。アミン非存在下では分子内あるいは分子間架橋によってBHMT二量体や多量体が観察された。このTGaseによるBHMTの架橋形成修飾は、BHMTの酵素活性を60%以下に低下させた。このことからTGaseによるBHMT架橋修飾はBHMTの酵素活性を抑制し、ホモシステイン代謝に影響を及ぼすことが予想され、加齢に伴う血中ホモシステイン上昇のメカニズムにTGaseが関与する可能性が示唆された。 2.TGase修飾タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体の作製 試験管内でTGase修飾反応(架橋形成)を行ったBHMTを抗原としてBalb/c8週齢メスのマウスに免疫を行った。血清中の抗BHMT抗体価を測定し、抗体価の上昇が確認された。脾細胞を調製し、ミエローマ細胞と細胞融合を行いハイブリドーマを作製した。BHMTに対してハイブリドーマクローンのスクリーニングを行っているが、現在までに陽性クローンを得ることはできていない。 3.酵母Two-Hybrid法によるTGase相互作用タンパク質の検索・同定 Sos/Ras伝達系の活性化を利用したCytoTrap酵母Two-Hybridシステムを用いてTGase相互作用タンパク質の検索を行った。ベイトタンパク質であるTGaseをヒトSOSタンパク質との融合タンパク質として発現させるベクターの構築を行った。マウス肝由来cDNAライブラリーをミリスチル化シグナルとの融合タンパク質として酵母内で共発現させスクリーニングを行った。38種類の陽性コロニーを取得し、相互作用の再確認とcDNAの塩基配列解析を行っている。
|