2003 Fiscal Year Annual Research Report
作物におけるミトコンドリアから核ゲノムへの遺伝子転移の解析
Project/Area Number |
15780215
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
久保 中央 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (60347440)
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Keywords | ミトコンドリア / 遺伝子転移 / イネ / オオムギ |
Research Abstract |
本年度は、ミトコンドリアゲノム上に存在する遺伝子の構造、及び、ミトコンドリアゲノムから核ゲノムへ転移した遺伝子の同定を行った。 ミトコンドリアゲノムに存在するrps2遺伝子の構造を植物間で比較した。オオムギのミトコンドリアゲノムよりrps2遺伝子を単離してその構造を解析したところ、下等植物ゼニゴケのrps2遺伝子と比較して遺伝子の3'末端側が拡張していた。この拡張領域は、イネ、コムギ、オオムギの三者で全く異なっていた。このことから、これらの領域は三者で独自に獲得されたと推察された。興味深いことに、イネ科等の単子葉植物ではrps2遺伝子はミトコシドリアゲノムに存在していたが、エンドウやシロイヌナズナ等の双子葉植物ではミトコンドリアゲノムから消失していることが明らかになった。 また、最近報告されたイネミトコンドリアゲノムの全塩基配列によって、rpl6遺伝子が完全に消失していることが明らかになった。そこで、ゼニゴケrpl6遺伝子の配列を用いてDNAデータベースに登録されている塩基配列に対して検索を行なったところ、rpl6遺伝子はイネ核ゲノムに転移していることが明らかとなった。イネrpl6遺伝子は、異なる染色体上に2コピー存在してした。2つのrpl6遺伝子の構造を比較したところ、核ゲノムへの転移後に遺伝子の重複が起こったことが推察された。cDNAライブラリーのスクリーニング及びイネ完全長cDNAデータベースの検索から、両遺伝子とも転写されていることが明らかとなったが、両者のrpl6遺伝子にはいずれもミトコンドリアへの輸送に必要なシグナル配列が認められず、この遺伝子がどのように機能しているのかさらなる解析が必要である。
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Research Products
(1 results)