2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の放出制御を指向した新規薬物送達システムの開発
Project/Area Number |
15790011
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 一郎 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40294714)
|
Keywords | キャリア分子 / S-S結合 / 胆汁酸 / N-オキシド |
Research Abstract |
平成15年度にS-S結合を有する「リンカー」を導入したキャリア分子を合成したものの、水溶性が極めて低く、機能評価にはいたらなかった。そこで平成16年度には胆汁酸部位の水溶性向上を目的として、胆汁酸の3つの水酸基をスルホン酸エステル化、リン酸エステル化したもの等を合成した。しかしながら、S-S結合を複数有するキャリア分子は不安定であり、漸次分解することが分かった。そこで,S-S結合の導入は中止し、薬物放出のトリガー部位に第3級アミンのN-オキシドを組み込んだキャリア分子の設計・合成を試みた。第3級アミンN-オキシドの酸素原子は中性〜塩基性で非常に強い水素結合の受容体として働く一方,酸性条件下では酸素がプロトン化され水素結合受容能が大きく低下すると考えられる。この性質を利用するとN-オキシドを分子内に有するキャリア分子はpH変化をトリガーとした薬物放出機能を持つと考えられる。具体的にはトリ(2-アミノエチル)アミンの1級アミノ基に胆汁酸を導入した分子の第3級アミノ基を酸化してN-オキシドとした。この化合物を用いて、ヘキサン/水-メタノールの2層系におけるオレンジOTの輸送実験を行ったところ、キャリア分子による色素のヘキサン層→水-メタノール層への移動が確認された。この分子は酸性条件下での水溶性が非常に低いため,pH変化による色素の放出を確認するには至っていないが、本研究課題で,目的としている放出制御能を持つ薬物送達分子の完成に一歩近づいたと考えている。
|
Research Products
(2 results)