2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790014
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
古田 巧 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (30336656)
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Keywords | gem-ハロゲン化合物 / レチノイド誘導体 / 鈴木-宮浦カップリング |
Research Abstract |
gem-ハロゲン化合物を有用な合成素子として捉え、そのユニークな利用法の開発を目的に研究を行った。 sp^2炭素上のgem-ハロゲンユニットの利用 sp^2炭素上のgem-ハロゲンユニットとして、ジブロモアルケン誘導体の反応性について検討した。特に今回は、ピリジン環を部分構造として持つジブロモアルケンについて検討を行った。すなわち、gem-ジブロモアルケンユニットを有するピリジン誘導体について、トルエンあるいはTHF溶媒中、アルキルリチウムを反応させた後、水にてクエンチすると、高選択的にトランスの立体配置を有するプロモアルケン誘導体が得られることを明らかにした。さらにこの反応をアルキル基の選択的導入に展開することで、立体選択的な3置換プロモアルケン誘導体の合成にも成功した。この際得られたプロモアルケン誘導体については、ピリジン環を有するレチノイド誘導体の合成に展開した。その結果、典型的なG蛋白質共役型受容体である視物質ロドプシンの機能解明に有用な複素環含有レチノイド誘導体を合成することに成功した。 sp^3炭素上のgem-ハロゲンユニットの利用 一方、sp^3炭素を有するgem-ハロゲン化合物として四臭化炭素を取り上げ、その選択的なアルキル基の導入を検討した。sp^3-sp^3カップリングに有効であると報告されている鈴木-宮浦カップリング条件を本反応系に適用し、ホスフィン配位子をスクリーニングするなど種々検討を行った。その結果、溶媒をTHFとし、Pd(OAc)_2,P(2-furyl)_3の組み合わせを用いた条件において、最高12%の収率で選択的なモノアルキル化が進行することが判明した。また本反応は配位子なしでも進行することが明らかになっており、現在その反応機構の解明および収率の向上を目指し努力している。
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