2003 Fiscal Year Annual Research Report
γ位ヘテロジ置換アリルジルコニウム種を用いる合成反応の開発と応用
Project/Area Number |
15790016
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 梓 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10338965)
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Keywords | γ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム / アリル金属 / ジルコノセン / トランスメタル化 / 付加反応 / α,β-不飽和カルボニル / イミン / 銅塩 |
Research Abstract |
研究代表者はジルコノセン-ブテン錯体とオルトアクリル酸トリエチルエステルと作用させると、配位子交換・アルコキシル基のβ脱離を経てγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種1が生成することを既に報告している。 1の反応性をγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種とα,β-不飽和カルボニル化合物との反応について検討した。ジルコニウム種1は添加物を加えない場合、α,β-不飽和カルボニル化合物との反応で1のγ位での1,2-付加体が良好な収率で得られる事を明らかとした。この際、1のα位での付加体は観察されなかった。一方、TMSOTfなどのLewis酸を反応に添加すると1のβ位での1,4-付加後環化したシクロプロパン体が得られ、また、銅(I)塩を反応に添加すると、1のα位での反応が進行し1,4-付加体が生成することを明らかとした。銅(I)塩としては、CuCNを用いた場合にもっとも良好な収率で生成物を得ることができた。 また、γ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種1とイミンとの反応についても検討を行なった。添加剤を加えない場合、種々のイミンとの反応は進行せず、原料を回収した。添加剤として一価の銅塩を用いて反応を行なうと、1のγ位で付加したジエトキシホモアリルアミンが生成する事を見いだした。基質であるイミンとしてはベンジリデンアニリン類の芳香族イミンの他、ベンジリデンメチルアミンなどの脂肪族イミンを用いた場合でも反応が進行し、対応するホモアリルアミン誘導体を得た。また、不斉中心をもつイミンを基質として用いた場合、高いジアステレオ選択性が観察された。 以上の結果を第50回有機金属化学討論会(大阪)にて発表した。また、これらの結果を二誌に投稿準備中である。
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