2003 Fiscal Year Annual Research Report
Chkキナーゼにより誘導される核形態異常と細胞分裂異常についての解析
Project/Area Number |
15790035
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 祐治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (10280918)
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Keywords | Csk homologous kinase / Src tyrosine kinase / nuclear shape changes / cell cycle |
Research Abstract |
細胞周期は精巧に制御されており,分裂期異常は染色体不安定性を引き起こす.これまで,Srcファミリーの抑制調節因子ChkチロシンキナーゼのSH2領域欠失変異体が核に局在し,核形態異常を誘導することを明らかにしてきた本研究は,Chk発現細胞における分裂期の異常をモデルとし,これを解析することで細胞周期制御を解明することを目的とした.本年度は,核形態異常が誘導される細胞周期について,およびチューブリンの関与について検討し,以下の結果を得た. 1.核形態変化と細胞周期との関連:核局在するSH3,SH2両領域欠失変異体(ChkΔSH3ΔSH2)を緑色蛍光タンパク質GFPと融合し,核形態変化を生細胞において観察した結果,間期における核の分葉化を観察した.また,CyclinB1の発現およびセントロソーム数について解析した結果は,核形態が変化した細胞がS期周辺に蓄積していることを示唆した.そこで,フローサイトメトリーを用い,ChkΔSH3ΔSH2発現細胞を細胞周期毎に分画した結果,S期後半にもっとも多く核形態異常細胞が観察された. 2.チューブリンの関与:Chk発現細胞にノコダゾールまたはタキソールを添加して核形態を観察した.これらの薬剤添加はChkΔSH3ΔSH2発現による核形態異常の誘導を阻害した. 3.核内移行の重要性:細胞内局在の異なる各種変異体を用いてその核形態異常誘導活性について解析した結果,Chk変異体の核局在により活性が増強されることを見い出した.さらに核膜,核小体などへのChk変異体の局在を観察した. 以上の結果より,ChkΔSH3ΔSH2発現による核形態変化は細胞周期特異的であり,S期進行との関与を明らかにした.さらにチューブリンの関与,Chkの核局在の必要性についても示した.
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