2004 Fiscal Year Annual Research Report
Chkキナーゼにより誘導される核形態異常と細胞分裂異常についての解析
Project/Area Number |
15790035
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 祐治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (10280918)
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Keywords | Csk homologous kinase / Src tyrosine kinase / cell cycle / tyrosine phosphorylation |
Research Abstract |
細胞周期は精巧に制御されている.分裂期異常は染色体不安定性を引き起こし,細胞の癌化,癌の悪性化の原因となる.これまで,Srcファミリーキナーゼの抑制性の調節因子,Chkチロシンキナーゼの核移行と核形態異常の誘導について明らかにしてきた.本研究は,Chk発現細胞における分裂期異常をモデルとし,これを解析することで細胞周期制御を解明することを目的とした.本年度は,Chkの核における機能発現に関与すると予想したN末端ドメインの機能についての解析を行い,以下の結果を得た. 1.Chk発現による核内リン酸化の亢進:野生型Chkおよびキナーゼ活性不活化変異体をHeLa細胞に発現させ,抗リン酸化チロシン抗体を用いて細胞内におけるリン酸化の亢進を解析したところ,Chkのキナーゼ活性に依存し,細胞内に加えて核内においてもチロシンリン酸化の亢進が観察された. 2.N末端ドメインの核への結合:細胞核への結合性をin situで評価する実験系を確立した。野生型およびN末端ドメイン欠損変異体のGFP融合タンパク質を用いて核結合について解析した結果,N末端ドメイン欠失により核への結合性が低下した.さらに,N末端ドメイン内において,核結合に必要な領域を探索した結果,N末端ドメインのC末端側に核結合に必要な領域が存在することを明らかにした. 3.核内リン酸化に対するN末端ドメインの影響:野生型およびN末端ドメイン欠損変異体をHeLa細胞に発現させ,細胞内チロシンリン酸化状態を解析した結果,野生型において核内のリン酸化の亢進が顕著であった. 以上の結果より,ChkチロシンキナーゼのN末端領域はChkの核への結合,核内チロシンリン酸化の亢進に重要な役割を担っていることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)