2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病脳老人斑アミロイドを構成する新規タンパク質CLACに関する研究
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15790038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 唯史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30334337)
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Keywords | βアミロイド / アルツハイマー / コラーゲン |
Research Abstract |
本研究者が同定した新規老人斑構成成分CLAC(collagen-like Alzheimer amyloid plaque component)はその前駆体蛋白(CLAC precursor:以下CLAC-P)の細胞外領域が、furinによって分泌され、老人斑アミロイドに結合し蓄積したものである。培養細胞を用いた検討から、CLAC-P発現細胞の培養上清中に分泌された分泌型CLAC(sCLAC)は凝集型のAβとin vitroにおいて結合することをすでに示している。そこで本年度は培養上清中よりsCLACを精製する方法を確立し、in vitroにおいてsCLACがAβの凝集に対して及ぼす効果について検討を行った。ヒトCLAC-P遺伝子を恒常発現するHEK293細胞株から分泌されたsCLACを含む培養上清を集め、陰イオン交換カラム(DEAE-Cellulose)、heparin-sepharoseカラム、逆相HPLCを順次用い、約80kDaのほぼ単一バンドとなるまでsCLACを精製した。最終的な回収率は約2.5%であった。トリプシン消化実験により、得られた精製sCLACはコラーゲンに特徴的なtriple-helical構造を保持していることが分かった。さらに精製sCLACが凝集型Aβとの結合能を保持していることを、in vitroの結合アッセイにより確認した。さらに精製したsCLACがin vitroにおいてAβ凝集に与える影響を、βシート構造を特異的に認識する蛍光色素チオフラビン(thioT)を用いて定量的に検討した。Aβ1-42(0.1mg/ml)に対し、モル比100分の1量相当の精製sCLACを添加し、37℃に静置してin vitro Aβ凝集アッセイを行った。一定時間反応後3μMのthioTを添加し、結合したthioTの蛍光量を測定することによりAβの凝集を評価したところ、sCLACはAβの凝集をin vitroにおいて有意に抑制することが分かった。この結果は、CLACはAβの線維化・蓄積の進行を抑制し、老人斑の形成に対し防御的に働いている可能性を示唆する。今後sCLACがAβ凝集過程のいかなる段階を抑制しているのかをin vivoで検討すると共に、トランスジェニックマウスの交配実験などによるin vitroレベルの検討を進める予定である。
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Research Products
(1 results)