2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸(HS)生合成酵素である癌抑制遺伝子EXT1欠損マウスのHSの解析
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15790056
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山田 修平 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (70240017)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / 遺伝性多発性外骨腫 / ノックアウトマウス / EXT1 / 癌抑制遺伝子 / 硫酸化グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
米国カリフォルニア大学バークレー校のSkarnes博士らより恵与されたEXT1欠損マウスの胚繊維芽細胞について、市販の抗HS抗体を用いて細胞を染色し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行なった。その結果、EXT1が欠損しているにも関わらず抗体の染色性が見られ、HSが合成されていることが示唆された。これは予想外の結果であった。そこで、EXT1欠損マウスの胚細維芽細胞がHSを産生しているかについて、さらに詳細に調べるため、[^<35>s]硫酸、 [^3H]ガラクトース、[^3H]グルコサミンの存在下で細胞をそれぞれ培養し、代謝標識を行なった。標識した細胞からHSを、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどを行なって精製した。同腹子の野生型の細胞についても、同様の操作を行なった。得られた標識HSについて、ヘパラン硫酸特異的分解酵素を用いた酵素消化を行い、消化物をHPLCで分析して構成二糖組成を決定した。また、ヒドラジン分解、亜硝酸分解といった化学的手法でも分解を行い、HPLCで二糖組成分析を行なった。その結果、EXT1欠損マウスであってもHSを合成していることが判明し、その構成二糖の組成は、野生型のものとほぼ同じであることが分かった。さらに、化学的分解法とゲルろ過分析を組み合わせ、HS鎖中の硫酸化ドメイン構造に関する情報も得た。硫酸化ドメイン構造も、野生型とEXT1欠損マウスの間で明確な差はなかった。ところが、HSそのものを未処理のままゲルろ過クロマトグラフィーで分析し、糖鎖サイズを比較したところ、野生型に比べてEXT1欠損マウスのHSは明らかに、低分子化していた。 この研究成果については現在論文投稿中である。また、予備的な実験データについて、日本農芸化学会2004年度(平成16年度)大会のシンポジウムの講演で紹介した。
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