2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトがん細胞株を用いた抗がん剤感受性予測システムの構築
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15790058
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
旦 慎吾 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・分子薬理部, 研究員 (70332202)
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Keywords | ヒトがん細胞株 / バイオインフォマティクス / 抗がん剤 / 感受性予測 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
がん細胞の抗がん剤感受性予測マーカーとなるような遺伝子を同定する目的で、研究代表者らはこれまでに、39種類のヒトがん細胞株について約65種類の抗がん剤に対する感受性と約1万種類の遺伝子発現を測定し、抗がん剤感受性と統計学的に有意な相関が認められた遺伝子群を抽出した。これらの遺伝子群は、抗がん剤感受性予測マーカーとして利用できることが期待される。そこで、種々の抗がん剤感受性と正の相関を示したAKR1B1遺伝子と、負の相関を示したCTSH遺伝子に着目し、新たに収集した12種類の胃がん細胞株を利用して予測性の検証をおこなった。最初に、胃がん細胞株12系について65種類の抗がん剤感受性をスルフォローダミンB (SRB)アッセイにより測定した。つぎに、39細胞株を用いた解析で23種類の抗がん剤の感受性と正の相関を示したAKR1B1遺伝子と、27種類の抗がん剤の感受性と負の相関を示したCTSH遺伝子についてRT-PCR法により発現解析をおこなった。これらのデータを利用して、AKR1B1、CTSH遺伝子それぞれについて、12細胞株を高発現している細胞株と、発現していない、または発現量が低い細胞株に分割し、二群間において抗がん剤感受性に有意な差があるかをマン・ホイットニー検定により検討した。その結果、AKR1B1遺伝子高発現細胞株は低発現株に比べて23剤中21剤について有意に感受性が高かった(P<(0.05)。CTSH遺伝子については27剤中8剤について高発現株での耐性が確認された(P<0.05)。以上の結果から、AKR1B1遺伝子とCTSH遺伝子は抗がん剤感受性予測マーカーとして利用できる可能性が示された。現在、これらの2遺伝子以外の遺伝子についても解析を進めており、より正確な感受性予測システムが構築されることが期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Dan, S., Shirakawa, M., Mukai, Y., Yoshida, Y., Yamazaki, K., Kawaguchi, T., Matsuura, M., Nakamura Y., Yamori, T.: "Identification of Candidate Predictive Markers of Anticancer Drug Sensitivity Using a Panel of Human Cancer Cell Lines."Cancer Science. 94(12). 1074-1082 (2003)
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[Publications] Sugiyama, Y., Dan, S., Yoshida, Y., Akiyama, F., Sugiyama, K., Hirai, Y., Matsuura, M., Miyata, S., Ushijima, M., Hasumi, K., Yamori, T.: "A Large-scale Gene Expression Comparison of Microdissected, Small-sized Endometrial Cancers with or without Hyperplasia Matched to Same-patient Normal Tissue."Clinical Cancer Research. 9(15). 5589-5600 (2003)