2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアリーム阻害物質チロペプチン類縁体による細胞内蛋白質の変動と生物活性
Project/Area Number |
15790059
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
百瀬 功 (財)微生物化学研究会, 微生物化学研究センター沼津創薬医科学研究所, ユニット長 (10270547)
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Keywords | プロテアソーム阻害物質 / チロペプチン / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、プロテアソーム阻害物質チロペプチン類縁体TP-110は、プロテアソームを強く阻害し、in vitroで癌細胞の増殖を強く抑制することが分かった。TP-110に対する耐性機序を解析することは、TP-110を用いた有効ながん治療方法の開発に繋がると考えられることから、本年度はTP-110に対する耐性細胞を作製し、その特異的蛋白質の変動を解析した。ヒト多発性骨髄腫RPMI8226細胞をTP-110に長期間暴露し耐性株を樹立した。その耐性株はTP-110に対して約10倍の耐性を示し、他のプロテアソーム阻害剤であるMG-132に対しては3倍、bortezomibに対しては2倍の耐性を示した。既存抗がん剤であるdoxorubicinに対しては40-120倍、taxolに対しては375-500倍と非常に強い交差耐性を示した。そこでDNAマイクロアレイによる発現解析を行なったところ、薬剤排出ポンプ蛋白質MDR1をコードする遺伝子ABCB1が耐性株において発現が顕著に増加していることが分かった。それはRT-PCRおよびウェスタンブロット法によっても確認することができた。そこでMDR1の阻害剤であるverapamilをTP-110耐性株に作用させたところ、TP-110への耐性が10倍から1.8倍に低下し、MG-132においても3.8倍から1.0倍に、bortezomibにおいても1.6倍から1.0倍に低下した。またMDR1過剰発現ヒト白血病K562/ADM細胞はMDR1を発現していないK562細胞に比べてTP-110に対して91倍の耐性を示した。またMG-132に対しては3.0倍、bortezomibに対しては4.0倍の耐性を示した。以上、プロテアソーム阻害剤TP-110に対する耐性株を作製し、その耐性機序にABCB1/MDR1が関与していることを明らかにした。
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