2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規小胞体アミノペプチダーゼL-NAPの生理機能および生物学的意義の解明
Project/Area Number |
15790061
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷岡 利裕 独立行政法人理化学研究所, 細胞生化学研究室, 基礎科学特別研究員 (80360585)
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Keywords | アミノペプチダーゼ / オキシトシナーゼサブファミリー / 小胞体内腔 / MHCクラスI抗原ペプチド / インターフェロン-γ / 免疫応答 |
Research Abstract |
オキシトシナーゼサブファミリーに属する新規酵素分子として、白血球由来アルギニンアミノペプチダーゼ(L-RAP)をクローニングし、その性状および機能解析を行った。L-RAPはヒト胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ(P-LAP)/オキシトシナーゼや脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ(A-LAP)と一次構造上高い相同性が認められ、また、これら3種の遺伝子は第5染色体上でクラスターを形成していること、さらにM1アミノペプチダーゼファミリーの構造の特徴である亜鉛結合モチーフHEXXH(X)_<18>E共通配列を有し、非常に構造が類似していることからM1アミノペプチダーゼファミリーのなかでもオキシトシナーゼサブファミリーを形成していることが明らかになった。L-RAPの遺伝子組み換え型酵素を大量発現させ、人工基質を用いて酵素活性を測定した結果、L-RAPはアルギニンあるいはリジン残基を遊離することを見いだした。また、L-RAPはアンジオテンシンIIIやカリジンなどの天然ホルモンに対しても水解活性を示した。本酵素の細胞内局在部位を細胞免疫染色あるいは細胞分画法により検討した結果、L-RAPは小胞体内腔に存在していた。次に、A-LAPと同様L-RAPの生体防御機構への関与を調べる目的で、抗ウイルス作用をもつインターフェロン(IFN)-γの効果を検討した。その結果、HEK293あるいはJurkat-T細胞においてIFN-γ刺激によるL-RAPの発現誘導が認められた。そこで、L-RAPが実際にHIV等ウイルスタンパク質由来ペプチドの分解能を有するのかを調べた結果、L-RAPはウイルス由来前駆体抗原ペプチドを効率よくトリミングする能力を有していた。以上の結果は、L-RAPが小胞体内腔において、ウイルス感染によるMHCクラスI抗原ペプチドトリミング酵素として機能しうることを示唆している。
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Research Products
(1 results)