2003 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴うシナプス糖タンパク質変化の網羅的解析とシナプス機能変化の関係の解明
Project/Area Number |
15790064
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐藤 雄治 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所・糖蛋白質研究グループ, 研究員 (90280768)
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Keywords | 老化 / 海馬 / シナプトソーム / 糖タンパク質 / 2次元電気泳動 / レクチン |
Research Abstract |
本年度は、ラット海馬シナプトソーム膜画分の蛋白質について、2次元電気泳動を用いた総タンパク質の老化に伴う変化を解析し、更に糖鎖構造特異的レクチンを組み合わせたレクチンブロッティングを用いて、老化に伴う糖タンパク質の変化について解析を行った。 まず、2D-DIGEを用い、総タンパク質の老化に伴う変化について解析を行った。若齢(9週齢)と老齢(30月齢)を比較したところ、双方とも約1000スポットのタンパク質が検出され、発現量に有為に変化の見られるスポットが24スポット検出された。そのうち19スポットについてpeptide mass finger printing (PMF)により同定に成功した。同定されたタンパク質の中には、actinといった細胞骨格を形成する因子やその折り畳みにかかわるT-complex1が含まれていた。老齢ラットではactinの発現が上昇し、折り畳みなどに関わる因子の発現が低下していたことから、老化の過程でシナプスの細胞骨格がダイナミックに変化している可能性が示唆された。 一方、これまでの組織化学的研究から、老化に伴い海馬シナプス前後膜上のシアロ糖タンパク質に変化が見られることから、シアル酸を認識するレクチンの一つである小麦胚芽レクチン(WGA)を用いてシアロ糖タンパク質の検出を行った。その結果、老化に伴いWGAに対する反応性が減少するスポットを約10ケ所明らかにした。この中の一つは2次元電気泳動で分画したタンパク質をPVDF膜に転写した後に、sialidase処理、または、PNGaseF処理を施すとWGAの反応性は消失した。この結果から、シアル酸を持つアスパラギン結合型糖鎖による修飾を受けた糖タンパク質が、老化に伴ってシナプス膜上から減少している可能性が示唆された。
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