2004 Fiscal Year Annual Research Report
Klotho蛋白質によるカルパインの活性制御機構の解析
Project/Area Number |
15790065
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
萬谷 博 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所(糖蛋白質研究グループ), 研究員 (20321870)
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Keywords | klotho / カルパイン / 老化 |
Research Abstract |
klotho変異マウスは多彩な老化症状を呈することから、klotho遺伝子が老化の制御に深く関与することが考えられている。従って、klotho遺伝子の機能解析は老化および老化に伴う病態の分子機構の理解に繋がることが期待される。これまでに私は、klotho変異マウスの腎臓と肺におけるμ-calpainの異常活性化を見いだしており、calpainによる蛋白質分解系の亢進が、組織の原因となる可能性を示してきた。一般的にcalpainの活性化はカルシウム依存的であることから、klotho変異マウスでは細胞内カルシウム濃度調節に異常があると予想される。そこで本年度は、klotho蛋白質と細胞内カルシウム濃度との関係を検討した。昨年度に見いだした、klotho蛋白質を内在性に発現している細胞株を用いて、klotho遺伝子の発現に影響することが知られるangiotensin IIを作用させたときのklotho蛋白質の発現変化とカルシウム代謝への影響を調べた。半透膜で培地を上層と下層に区切った培養器を用いて、半透膜上で培養した細胞に各試薬と^<45>Caを添加し、上層-下層問のカルシウム流動量と細胞内カルシウム濃度の変化を^<45>Caの放射活性により測定した。その結果、angiotensinIIの添加によりklotho蛋白質の発現は減少し、同時に上層-下層間のカルシウムの流動量が増加することが明らかとなった。また、カルシウム輸送の亢進に伴って、細胞内カルシウム濃度も上昇する傾向が観察された。以上より、klotho蛋白質の発現量とカルシウム輸送には密接な関係があることが明らかとなった。klotho変異マウスや自然老化マウスにおいてklotho蛋白質の発現異常が長期的に続く場合、細胞内カルシウム濃度が持続的に上昇することが予想され、その結果μ-calpainの活性化が誘導されている可能性が考えられる。
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