2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質カドミウムのDNAメチル化異常による発ガン機構
Project/Area Number |
15790081
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
瀧口 益史 広島国際大学, 薬学部, 助教授 (90330753)
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Keywords | Cadmium / Carcinogenesis / DNA methylation / Metallothionein / Gene expression / Epigenetics / Metal loproteinase 2 / Transformation |
Research Abstract |
メタロチオネイン(MT)はカドミウムなどの重金属により誘導合成されることが知られそいる。近年、種々のガン細胞や細胞増殖因子により刺激した細胞において、MTが核内に局在すること、また細胞周期のG1/S期に誘導されることが報告され、MTが細胞内シグナル伝達および転写調節に関与していることが示唆された。一方、SV-40 large T-抗原はガン抑制遺伝子P53とRB (retinoblastoma genes)を不活性化することにより細胞周期の停止を解除し、細胞を不死化することが知られている。本年度、我々はMT欠損マウスと野生型マウスの胎仔由来の線維芽細胞にSV-40 large T抗原を導入した細胞(前ガン細胞モデル)を用い、両細胞間で発現量の異なる遺伝子を検索し、それら遺伝子発現に対するMTの影響を検討した。つまり、カドミウムのガンに対する影響をMTの側面から解析してみた。両細胞間で発現量の異なる遺伝子を865種類中より検索したところ、野生型細胞に比べ、MT欠損細胞で低発現している遺伝子3種類(MMP2など)、高発現している遺伝子3種類(EST cytochrome b5など)を同定した。EST (cytochrome b5)を除く上記5遺伝子は、RT-PCRにより両細胞間で発現量が異なることが確認された。さらに、MMP2遺伝子産物である68kDa type IV collagenaseの分泌活性を検討したところ、MT欠損細胞の方が有意に低い活性を示した。Type IV collagenaseはガンの進展及び転移活性に関与することが知られている蛋白質であり、今回の研究によりMTがMMP2発現を増加させ、ガン化機構に影響を与える可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)