2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞選択的遺伝子導入キャリアを用いた新規細胞性免疫型DNAワクチンの構築
Project/Area Number |
15790095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20322307)
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Keywords | DNAワクチン / 遺伝子治療 / 遺伝子デリバリー / 受容体介在型エンドサイトーシス / カチオン性リポソーム / 体内動態 / マンノースレセプター / ターゲティング |
Research Abstract |
近年、癌や感染症の次世代の治療法として、抗原をコードした遺伝子を生体に導入するDNAワクチン療法が注目を集めている。従来法であるDNAワクチンの局所投与療法では、抗原提示細胞において遺伝子を発現させることは難しく、体液性免疫の誘導は起こるものの細胞性免疫の誘導は弱いのが問題である。遺伝子キャリアを用いることで、抗原提示細胞へ遺伝子導入させることができれば、細胞性免疫誘導型のDNAワクチン療法が可能になり、理想的な免疫療法が確立できると考えられる。そこで、抗原提示細胞特異的に発現しているマンノースレセプターに着目し、その基質となるマンノース修飾リポソームによる効率的なDNAワクチン製剤の開発を試みた。まず、静脈内投与におけるマンノース修飾リポソームを用いた抗原提示細胞への細胞選択的デリバリーを実現する為に、複合体の物性の中でも重要な因子である電荷の影響について解析したところ、マンノース修飾リポソームを用いた場合のみ、電荷のモル比(-:+)1.0:2.3および1.0:3.1において肝臓、脾臓といったマンノースレセプターを発現している抗原提示細胞を多く含む臓器において選択的な遺伝子導入が可能であり、新規DNAワクチン製剤として有望である可能性が示された。そこで、モデル抗原として、卵白アルブミン(OVA)発現プラスミドDNAを構築し、DNAワクチン製剤としての有用性に関して評価を行ったところ、マンノース修飾リポソームにおいては、対照のplasmid DNAやカチオン性リポソーム複合体に比べ、より強いOVA特異的な脾臓細胞の増殖活性を示すこと、また、MHC-Class I上へのOVAペプチド断片の抗原提示増強も認められ、遺伝子導入した抗原に対する特異的な免疫系の活性化が示された。今後は、本細胞選択的遺伝子導入キャリアを用いたDNAワクチン製剤による細胞障害性T細胞(CTL)の誘導および治療効果改善効果に関して評価していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Nishikawa et al.: "Novel glycosylated cationic liposomes for carbohydrate receptor-mediated gene transfer"Methods in Enzymology. 373. 384-399 (2003)
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[Publications] S.Kawakami et al.: "Effect of cationic charge on receptor-mediated transfection using mannosylated cationic liposome/plasmid DNA complexes following the intravenous administration in mice"Pharmazie. (in press).