2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管細胞におけるPGJ2ファミリーの産生機構および薬理作用の解明
Project/Area Number |
15790137
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三輪 宜一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60346773)
|
Keywords | 15d-PGJ2 / L-PGDS / シェアストレス / クラステリン / 動脈硬化 / 遺伝子多型 / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
1.シェアストレスによるL-PGDS発現誘導メカニズムの解明 我々は、以前に血管内皮細胞にシェアストレスを負荷するとL-PGDSの発現が誘導され、その下流にあるPGD2および15d-PGJ2が培養液中に増加することを報告した。この結果をもとに、L-PGDS遺伝子のプロモーター領域を組み込んだベクターを作成し、L-PGDS転写活性に対するシェアストレスの影響を検討した。その結果、TATA boxより2607bp-2523bp上流の部位にシェアストレス応答エレメントがあることが判明した。その部位の転写因子結合エレメントを詳細に解析した結果、シェアストレスによりc-Junがリン酸化されることにより活性化され、L-PGDSプロモーター領域のAP-1結合部位に結合することがわかった。また、c-Junのリン酸化にはJNKが関与していることも明らかにした。これらの結果をArterioscler.Thromb.Vasc.Biol.に報告した。 2.15d-PGJ2による血管平滑筋の分化誘導メカニズムの解明 我々は以前に15d-PGJ2が血管平滑筋細胞の分化マーカーを誘導することを報告していたが、今回の研究で培養条件を変化させると、平滑筋細胞の凝集がおこり、平滑筋肉腫様の結節を形成し、その後分化に向かうことが明らかになった。同様の現象を引き起こす蛋白としてクラステリン(アポリポ蛋白J)が報告されていたが、15d-PGJ2はクラステリンを誘導し、さらにクラステリンの中和抗体により、平滑筋細胞の凝集がほぼ完全に抑制されることから、15d-PGJ2による平滑筋細胞の凝集、それに伴う分化誘導にはクラステリンが関与していることが示唆された。これらの結果をBiochem.Biophys.Res.Commum.に報告した。 3.L-PGDS遺伝子多型の同定および動脈硬化との相関関係の検討 我々は、まず96人の健常人ボランティアの血液からDNAを抽出し、L-PGDS遺伝子のフルシークエンスを実施した。その結果、6つの一塩基多型(SNP)を見出すことができた。また、そのうちの2つのSMPを782人の本態性高血圧患者においてタイピングしたところ、3'非翻訳領域に存在する4111A>CのA/A遺伝子型のヒトがA/CおよびC/C型のヒトにくらべ、血中HDLコレステロールの濃度が高く、動脈硬化の指標である頸動脈の内膜中膜複合体厚が有意に低下していることが明らかになった。これらの結果をBiochem.Biophys.Res.Commum.に報告した。
|
Research Products
(3 results)