2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞癌化を媒介する活性酸素産生酵素Nox1による情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
15790149
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
篠原 正浩 信州大学, 医学部, 助手 (60345733)
|
Keywords | Nox1 / 活性酸素 / GTP結合タンパク質 / チロシンリン酸化タンパク質 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
我々はRas癌化細胞において活性酸素(ROS)産生酵素であるNox1の発現が上昇していること、Nox1の産生するROSが情報伝達因子となり細胞増殖能、細胞の癌化を誘導することを見い出していたが、1)Nox1の活性調節機構、および2)ROSの情報伝達経路、についての知見はほとんど得られていない。この2点を解明するために以下の実験を行い、結果を得た。 1)Nox1活性には、調節サブユニットp41^<Nox1>、p51^<Nox1>の存在が必要であることが報告された。この報告を追試したところNox1依存的なROSの産生が見られ、この系を利用してNox1活性調節機構の解明を試みた。Nox1のホモログであるgp91^<Phox>はGTP結合タンパク質Racの活性化によりROSを産生することが知られている。しかし、RacによるNox1の活性の上昇は現在認められていない。一方、in vitroの再構成系実験を行ったところROS産生にはGTPの必要性が明らかになった。これはNox1の活性には何らかのGTP結合タンパク質の関与を示唆するものであり、現在このタンパク質の同定を試みている。 2)ROSの一種、過酸化水素によりGTP結合タンパク質Rhoの不活性化を見い出した。この反応にはRhoのGTPase活性促進タンパク質RhoGAPの関与が考えられたため、その一つであるp190について解析を行った。このRhoGAPはチロシンリン酸化により活性上昇、Rhoの不活性化を誘導するためことが知られているため、Nox1によるROS依存的なp190のチロシンリン酸化について検討中である。
|