2003 Fiscal Year Annual Research Report
β_2―グリコプロテインIの生理機能及び抗リン脂質抗体を介した血栓症の分子機序
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15790161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 友則 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員(常勤形態) (00261694)
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Keywords | β_2-グリコプロテインI / トランスグルタミナーゼ / 架橋反応 |
Research Abstract |
トランスグルタミナーゼを介したβ_2-グリコプロテインI(β_2GPI)の架橋反応について解析を行った。ヒトβ_2GPIは、プール血漿から過塩素酸処理、Qセファロースカラム、およびヘパリンカラムにて精製し、還元剤存在下、分子量54kDaの単一バンドであることをSDS-PAGEにより確認した。トランスグルタミナーゼ標品として凝固第XIII因子(FXIIIa)、および組織トランスグルタミナーゼ(TG)を用いた。トランスグルタミナーゼはタンパク質のグルタミン/リジン間にイソペプチドを形成し、タンパク質分子内あるいは分子間を架橋する。β_2GPI分子中のグルタミン残基のFXIIIaに対する反応性を5-ビオチンアミドペンチルアミン(BAPA)を用いたマイクロプレート法により解析した。β_2GPIは活性測定時の基質タンパク質であるカゼイン同様にFXIIIa(0-2μg/ml)依存的にBAPAを取り込んた。一方、コントロールとしたBSAへの取り込みはほとんど見られなかった。次に、TG、およびFXIIIaによるβ_2GPI架橋反応の生成分子種を解析した。反応後の試料をSDS-PAGEにて分離し、抗β_2GPI抗体を用いたウエスタンブロッティング法により検出した。未反応のβ_2GPI(54kDa)に加え、分子量の異なる(50kDa〜>200kDa)複数のβ_2GPI分子種が検出された。これらの生成量や存在比はTG/FXIIIa間で若干の違いが見られるが、どちらの反応もカルシウムイオン(5mM)存在下、酵素量(0-100μg/ml)、反応時間(0-180min)に依存し、またEDTA(10mM)の添加により完全に阻害された。以上の結果から、β_2GPIは試験管内でトランスグルタミナーゼの基質となり、分子間の架橋反応によって多量体を形成することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)