2004 Fiscal Year Annual Research Report
進行悪性腫瘍の第I相臨床試験とDNAマクロアレイによる遺伝子発現プロファイリング
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15790168
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田村 研治 近畿大学, 医学部, 講師 (60340783)
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Keywords | RAS / ファルネシルトランスフェレース / cDNA発現アレイ / ゲフィチニブ / 臨床試験 / EGFR / 薬剤性肺臓炎 / レーザー・マイクロダイセクション法 |
Research Abstract |
1)ファルネシルトランスフェレース阻害剤(R11577)の第I相試験 投与前後(75末梢リンパ球より得られた検体を用いてcDNAマクロアレイを施行した。同時に行われた血中の薬物動態等の結果より、濃度依存的、あるいは暴露時間依存的に発現の上昇する遺伝子群を検索した。結果、RASと同様に、ファルネシルトランスフェレースの修飾を受けるRhoが直接的なエフェクターであることが解明された。統計学的手法により、理論上の経路(パスウエイを描くことに成功した。また、生体内で、ファルネシルトランスフェレースを加えた前後でのRhoの活性が明らかに減少していることを解明した。 2)ゲフィチニブの第II相試験 投与前後の気管支肺生検(TBLB)検体、あるいは正常皮膚組織より得られた検体を用いて、cDNAマクロアレイを施行した。レーザー・マイクロダイセクション法や、T7-based RNA増幅法幅用いた遺伝子増幅法を加えることで、微量検体からの遺伝子発現アレイが可能であることを示した。非小細胞肺癌(NSCLC)患者30例が登録し、27例でゲフィチニブ投与前後での正常皮膚生検が可能であった。内22例で、約800個がん関連遺伝子のcDNA発現解析が可能であった。30例3例で間質性肺炎(ILD)を認めた。20個の遺伝子において、投与前後の発現量比によって完全に非発症と発症を分離できる(CS : Complete separation)であった。内12遺伝子において、ILDを発症された患者で投与後有意に発現量の増加をみとめ、非発症群では変化なし、または減少というように異なったプロファイルを示した。この中には、MAPK4やc-src, c-cblなどEGFRの下流に存在し、理論上、ILDの予測タンパクの候補になりうるタンパク質が存在した。塩酸ビノレルビン、あるいはTS1において、細胞株レベル、ヒト腫瘍移植ヌードマウスモデルにおいてゲフィチニブと相乗効果が得られることを証明した。相乗効果が得られやすい細胞株は、EGFRのTKドメインの体細胞変異のあるもの、EGFRのリン酸化レベルが高いもの、HER2のリン酸化レベルが高いものであることが示唆された。
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