2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維の伝播経路と発症促進作用に関する研究
Project/Area Number |
15790199
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤下 仁子 信州大学, 医学研究科, 助手 (40359732)
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Keywords | マウス老化アミロイドーシス / アミロイド線維の伝播 / アミロイド線維の形成機構 |
Research Abstract |
1.アミロイド線維の伝播機構を解析するため、老化アミロイドーシス発症マウスからアミロイド線維AApoAIIを精製し、放射性同位体を用いたアミロイド線維の標識化について調査したところ、タンパク質の標識に最も汎用されているI-125標識法は不可であることが明らかになった。そこで、C-14標識アミノ酸を有する合成ペプチドを用い、試験管内でアミロイド線維を合成・標識し、これをマウスに投与してアミロイド線維の伝播機構の解明を試みることにした。しかし、合成ペプチドを用いてアミロイド線維を作製するには2つの課題が生じる。まず、合成ペプチドの選定の際にはAApoAIIの構成タンパク質であるapoA-IIのアミノ酸配列のうち線維化に関与する領域を明らかにしておくことが必要であり、次に、合成したアミロイド線維が生体本来のものと同一であることを確認しておかなければならない。現在までに、AApoAIIの合成には2つの異なるアミノ酸配列を持つペプチドが必要で、核が共存し、酸性条件下で反応させなければならないことが明らかになりつつあり(再現性を確認中)、さらに、合成アミロイド線維が生体本来のものと同一の線維構造を持つ可能性が高いことを確認している。今後は、この合成アミロイド線維の放射標識体をマウスに投与し、臓器内ならびに細胞内分布を明らかにしていく。 2.アミロイド線維AApoAIIの形成機構については、上記1に記載したように、現在までに、酸性条件下で線維化が進行すること(透析アミロイドーシスの原因タンパク質β2-microglobulinの線維化と類似した性質)、apoA-IIの2つの異なるアミノ酸配列が関与していること(他のアミロイドーシスの原因タンパク質とは異なる性質)を明らかにしている。今後は、各種培養細胞を用い、細胞内におけるアミロイド線維の形成過程を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)