2003 Fiscal Year Annual Research Report
レプチン受容体異常マウスを用いた大腸発がんにおける肥満起因性危険因子の同定
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15790200
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
廣瀬 善信 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (20293574)
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Keywords | 大腸がん / 肥満 / レプチン / インスリン / dbマウス / アゾキシメタン |
Research Abstract |
肥満は大腸発がんの危険因子であるが,そのメカニズム解析に関しては現状では知見に極めて乏しい。最近得られた知見より,レプチンによるBody Mass Indexの長期的制御やインスリン抵抗性が分子レベルで明らかになりつつあり,肥満発症の多因子性病因の一端がわかってきた。今年度は,レプチン受容体異常マウスにおけるazoxymethane(AOM)誘発大腸発がん感受性を検討することで,レプチン抵抗性という肥満起因性因子の大腸発がんにおける役割を探ることを目的とした。研究方法としては,食事制限下(3gMF/mouse/day)の4週齢の野生型マウス(C57BL/KsJ-+/+),ヘテロ接合体マウス(C57BL/KsJ-db/+)及びホモ接合体マウス(C57BL/KsJ-db/db)にAOM(15mg/kg体重)を週1回5週連続皮下投与した。全マウスの体重は毎週,食事量は毎日それぞれ個体ごとにモニターした。AOM投与終了後5週(13週齢)で全マウスを屠殺し、摘出した大腸粘膜におけるdysplastic lesion(DL)数及びearly neoplastic lesion(ENL)数を検索した。その結果,実験期間における全マウスの体重のコントロールは良好で群間に有意差はなかったが,脂肪沈着量はホモマウスにおいて増加していた。大腸粘膜における総病変(DL+ENL)数は,野生型マウスでそれぞれ15.9±9.5/cm^2 colon,ヘテロマウスで13.8±3.6/cm^2 colonであったのに対し,ホモマウスでは29.3±14.1/cm^2 colonと有意な増加が見られた(P<0.04)。血液生化学検査では,ホモマウスでhyperleptinemia及びhyperinsulinemiaが特異的に見られた。これらの結果から,ヘテロあるいは野生型マウスに比べてdb/dbホモマウスではAOM誘発大腸早期病変発現が促進されることが示唆された。次年度は,hyperleptinemia及びhyperinsulinemiaのどちらがより重要な因子であるのか,あるいはその他に重要となる因子はないのかについて,動物実験を使ったアプローチにより検索を進める予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hirose, Y., Hata, K., Kuno, T., Yoshida, K., Mori, H., et al.: "Enhancemennt of development of azoxymethane-induced colonic premalignant lesions in C57BL/KsJ-db/db mice"Carcinogenesis. in press.