2004 Fiscal Year Annual Research Report
調節性T細胞を標的とした細胞内寄生性原虫のエスケープ機構の解明-防御免疫に対する制御機構及び新規ワクチン療法への応用-
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15790214
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Research Institution | Osaka Prefectual College of Nursing |
Principal Investigator |
酒井 徹 大阪府立看護大学, 総合リハビリテーション学部, 助教授 (40274196)
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Keywords | 調節性T細胞 / 原虫 / DNAワクチン / トリパノソーマ / 細胞内寄生性原虫 |
Research Abstract |
近年、調節性T細胞(Treg細胞)といった免疫応答を調節する特殊な細胞群が発見され、その機能欠損は自己免疫疾患といった免疫機構の破綻を引き起こすことが明らかになった。In vivoにおけるTreg細胞の除去は腫瘍の拒絶を引き起こし、またマラリアの場合は致死感染を防御することが報告されている。すなわちTreg細胞は宿主側としてはエフェクター細胞の活性化を抑制的に作用すると共に病原体としてはTreg細胞を抑制することが宿主免疫機構からのエスケープ機構の一つであることが想定される。そのため本申請計画では、Tregを標的とした新たなDNAワクチン手法の検討を行った。クルーズトリパノソーマのワクチン候補遺伝子であるTSA遺伝子を遺伝子銃を用い2回免疫を施したところ、有効なワクチン効果が得られなかった。しかしながら、DNAワクチンの際、抗CD25抗体を投与することでワクチン効果が高まり、クルーズトリパノソーマ感染における虫血症の程度で有意な低下が認められた。そのメカニズムを解明するために、TSA遺伝子免疫群と、TSA遺伝子免疫と抗CD25抗体投与を組み合わせた群でTSA特異的細胞傷害活性を比較したところ、後者は前者に比べ誘導活性が高かった。クルーズトリパノソーマ感染においてCD8+T細胞が重要な防御細胞群であることを考慮すると、Tregの負の制御が解除され、DNAワクチンによる免疫誘導が高まったことが防御免疫を高めたことが推察された。そのため、Treg細胞の制御は有効なトリパノソーマ感染におけるDNAワクチン開発を行う上でキーポイントとなることが示された。
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Research Products
(6 results)