2004 Fiscal Year Annual Research Report
感染症に対する内分泌かく乱物質の影響についての研究
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15790230
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
杉山 圭一 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 研究員 (80356237)
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Keywords | 細菌内毒素 / マクロファージ / NO / iNOS / β-estradiol / alachlor / carbaryl / NF-κB |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き本年度では、内分泌かく乱物質にβ-estradiolでなくその作用が疑われる農薬のalachlor(ACL)とcarbaryl(NAC)を用いて、マウスのマクロファージ様細胞のRAW264で細菌内毒素(lipopolisaccharide, LPS)により誘導される一酸化窒素(NO)の産生に及ぼす内分泌かく乱物質の影響について検討した。ACLとNACは、β-estradiolと同様にLPSにより誘導されるNO産生とその合成酵素の誘導型NO合成酵素(iNos)遺伝子の発現を濃度依存的に抑制した。LPSによるiNOS遺伝子の発現誘導には、同時に誘導されるinterferon-β(IFN-β)が重要な役割を持つことが報告されている。そこでLPSによるIFN-β遺伝子の転写誘導に及ぼすACLとNACの影響をNortheblot解析及びレポーターアッセイにより検討した。LPSによるIFN-β遺伝子の転写誘導はACLとNACにより抑制された。しかしACLとNACによるiNOS遺伝子の発現誘導の抑制はIFN-βを添加した場合でも完全には解除されなかった。この結果からACLとNACのNO産生の阻害作用には、IFN-βの産生抑制以外の機構の関与が示唆された。IFN-β遺伝子の転写誘導に関与する転写因子NF-κBはiNOS遺伝子の転写誘導にも不可欠な分子である。従ってACLとNACは、LPSによるNF-κBの活性化に影響を及ぼすことでNO産生の誘導を阻害する可能性が考えられる。そこでレポーターアッセイによりNF-κBの活性化レベルを検討したところ、ACLとNACはLPSによるNF-κBの転写活性化を抑制することが明らかとなった。これより、マクロファージでのこれら内分泌かく乱物質によるLPS誘導性NO産生の抑制作用にはNF-κBの活性化阻害が関与することが明らかとなった。
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