2005 Fiscal Year Annual Research Report
Mycoplasmapenetransの膜リポタンパク質抗原変化機構の解析
Project/Area Number |
15790232
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
堀野 敦子 国立感染症研究所, 細菌第二部, 研究員 (90270652)
|
Keywords | Mycoplasma penetrans / 膜リポタンパク / DNA inversion / site-specific recombinase / tyrosine recombinase / 抗原変異 / 寄生細菌 |
Research Abstract |
Mycoplasma penetransのゲノムにはP35ファミリーまたはmplと呼ばれる遺伝子群が30個並んで存在する領域がある。これらの遺伝子がコードするのは、この菌の表面を覆う主要なリポタンパク質群であり、それぞれが、独立したプロモーター領域の逆位によって個別に発現調節されている。M.penetransは、この仕組みにより細胞表面のリポタンパク質の組み合わせを頻繁に変化させ、宿主の免疫を回避して体内に長期にわたって生息すると考えられている。mpl遺伝子群のプロモーター逆位を媒介する酵素は、tyrosine recombinaseに属する部位特異的DNA組み換え酵素であり、MYPE2900遺伝子の産物であることを我々はこれまでに明らかにした。また、M.penetransゲノムにはさらにもう一つ組み換え酵素の遺伝子と考えられるMYPE8180が存在していた。これらの酵素の性質を調べるためMYPE2900と、MYPE8180を大腸菌で発現させて研究を行ってきたが、MYPE2900のDNA組み換え酵素としての活性は大腸菌内で検出できるものの、MYPE2900、MYPE8180ともに発現量が微量であり、通常の方法ではSDS-PAGEでの発現確認や精製を行うことができなかった。大腸菌内で大量発現が成功しないのは、DNA組み換え酵素の性質上、大腸菌に対する毒性が強いのではないかと考えられた。そこで、コールドショックプロモーターをもつ発現ベクター(TAKARA pCold I)を用いた系で検討を行ったところMYPE2900とMYPE8180の大量発現を行うことができた。また、MYPE2900はHis-tagがついた状態でも酵素として機能し、大腸菌内でDNA逆位を媒介した。現在MYPE2900とMYPE8180の精製を行い、in vitroでの反応系や抗体の作製を検討中である。
|