2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスNS5A蛋白によるインターフェロン阻害作用の分子機序の研究
Project/Area Number |
15790240
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長野 基子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90304089)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 非構造蛋白NS5A / インターフェロン / 抗ウイルス活性 / HCV RNAレプリコン / IL-8 / NS4A / NS4B |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)NS5A蛋白について、NS5A発現細胞およびHCV RNAレプリコン(NS3-NS5B)複製細胞(レプリコン細胞)を用いて(i)IFN作用分子である2-5A合成酵素とNS5Aが結合すること、(ii)チャレンジウイルスを用いたウイルスレスキュー実験により、両細胞が対照細胞に比較してIFN抗ウイルス活性を抑制すること、などをこれまでに明らかにしてきた。本研究では、このIFN抗ウイルス活性抑制に関与するISDR(IFN sensitivity determining region)内のアミノ酸配列およびIL-8の誘導について検討した。 IFN治療により血中HCV RNAが持続的あるいは一時的に消失した患者由来HCV株の解析によりIFN感受性に重要と考えられた244Thr、246His、255IleをそれぞれAla、Cys、Valに同時に置換した変異型レプリコン細胞を作製した。ウイルスレスキュー実験により、この変異型レプリコン細胞はwtレプリコン細胞と同等の抗ウイルス活性抑制を示した。このことからレプリコン細胞におけるIFN抗ウイルス活性抑制にはこれら以外のアミノ酸も大事であることが示唆された。さらに、HCVによるIFN抗ウイルス活性抑制にはNS5Aが惹起するIL-8の誘導が関与するとの報告があることからレプリコン細胞におけるIL-8の誘導について検討した。レプリコン細胞では対照細胞に比較してIL-8のプロモーター活性が約2倍上昇していた。またIL-8 mRNA発現量も対照細胞の約2倍、細胞上清中の分泌IL-8量も約2倍と有意に増加していた。各々のHCV非構造蛋白発現細胞を用いた結果から、レプリコン細胞におけるIL-8発現増加にはNS5AよりNS4BとNS4Aが特に関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)