2003 Fiscal Year Annual Research Report
二次リンパ組織の形成過程における間質細胞の役割に関する研究
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15790250
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸川 温 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (30359799)
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Keywords | パイエル板 / IL-7Rα陽性細胞 / 間質細胞 / リンフォトキシンシグナル |
Research Abstract |
1、胎児期マウスのパイエル板やリンパ節の原基において、IL-7Rα/integrin α4β7/CD4陽性細胞とVCAM-1/ICAM-1陽性の間質細胞との相互作用がリンパ球などの構成細胞の誘導と適切な配置をつかさどることは従前の研究によって明らかとなった。今回C57BL/6およびSCIDマウスを用いた出生後初期のパイエル板の形成過程を詳細に観察したところ、以下の点を見出した。(1)IL-7Rα陽性細胞は出生後のパイエル板でも認められ、生後4日ごろまでは分節化せず細胞の集塊として観察されるが、それ以後にT/Bリンパ球および樹状細胞とは異なった濾胞辺縁部に限局した局在パターンを示し始め、生後7日目頃にはこの局在パターンは完成し以後も持続する。一方VCAM-1陽性細胞は一貫して濾胞に一致した局在を示す。(2)SCIDマウスのパイエル板においてもIL-7Rα陽性細胞およびVCAM-1陽性細胞を認めるが、IL-7Rα陽性細胞は濾胞状に分節化した集塊パターンを取るのみでBL/6マウスのような傍濾胞性パターンは取らない。一方VCAM-1陽性細胞はIL-7Rα陽性細胞と一致した分布を示す。 2、上記のパイエル板形成過程におけるリンフォトキシンα1β2(LT)によるシグナルの役割を見るために、新生児マウスにLTβR-Fcを投与してその影響を観察した結果、以下のことが明らかとなった。(1)生後3日以内のBL/6マウスにLTβR-Fcを投与した場合、パイエル板の形成は完全に阻害された。(2)生後4日目のマウスに投与すると、小腸上部(口側)のパイエル板は消失したが、小腸下部(肛門側)では形成は維持された。(3)生後7日目以降のマウスではLTβR-Fc投与の影響を認めなかった。以上より、生後4日と7日の間で部位依存性にLTに依存した組織構造がLT非依存性の構造に質的変化を起こすことが推測された。
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