2003 Fiscal Year Annual Research Report
頻回受診者の受療行動変容と医療費自己負担制度変更の行動科学的関連に関する研究
Project/Area Number |
15790266
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
谷原 真一 島根大学, 医学部, 助教授 (40285771)
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Keywords | 診療報酬請求明細書 / 高額医療 / 医療費 |
Research Abstract |
S県H市における平成14年9月から同15年7月診療分の診療報酬請求明細書(以下、レセプトとする)の内、医科分219,162件から、高額医療に該当する者が保険者全体の医療費に与える影響を把握することを目的として、1件の決定点数が7万点以上であるレセプトを抽出して集計を行った。レセプトデータを研究者が取り扱う前にS県H市の側で被保険者名および生年月日を削除し、さらに被保険者記番号などの個人同定に結びつく情報を変換することで、S県H市職員以外の者には個人同定が不可能なデータセットを構築することにより個人情報保護の徹底を行った。 期間中、962件のレセプトが高額医療に該当した。期間中の医科レセプト219,162件に占める割合は0.44%であったが、医療費の合計(医科レセプトの合計、食事除く)116,974,988点は全レセプトの総計668,459,353点の17.5%であり、比較的少数の者が医療費の大きな割合を消費していることが示された。なお、最大値は530,309点であった。 レセプトデータセットに疾病名が入力される平成15年5月診療分に限定した上で疾病大分類に見た高額医療費の件数を集計した新生物が27%と最も高い割合であった。続いて、循環器系の疾患の割合が高かった。尿路性器系の疾患の4件は腎不全によるものであった。損傷、中毒及びその他の外因の影響6件の内、3件は骨折によるものであった。病名の入力がなかったレセプトが全体の約6分の1認められた。 高額医療に該当するレセプトは全体のごく少数であったが、医療費に占める割合は比較的高くなっていた。高額医療費に該当する者のより詳細な分析が必要である。疾病名の分析は5月分に限られ、主病名は1つに限定されてはいるが、骨折が腎不全とほぼ同じ件数であったことは、医療費の適正化に関して重要な情報である。高額医療費の対策の評価を実施する上では、重複・多受診者も含めたより詳細な分析が必須である。
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