2003 Fiscal Year Annual Research Report
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)による胃腸傷害の発生とCOX阻害との関連性-COX-1阻害により誘導されるCOX-2の役割と誘導機序
Project/Area Number |
15790273
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 晶子 京都薬科大学, 薬物治療学教室, 助手 (30329940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 伸一 京都薬科大学, 薬物治療学教室, 講師 (90281500)
竹内 孝治 京都薬科大学, 薬物治療学教室, 教授 (00150798)
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Keywords | NSAIDs / COX-1 / COX-2 / 胃粘膜傷害 / 小腸傷害 / 一酸化窒素 / プロスタグランジン |
Research Abstract |
非ステロイド系抗炎症薬による胃腸傷害の発生とCOX阻害との関連性およびNO合成阻害時の小腸粘膜に対するCOX-2阻害薬の影響について検討し以下のような知見を得た。 1.COX-1選択的阻害薬の投与は胃および小腸粘膜のPG産生をほぼ完全に抑制したが、胃腸粘膜に対し傷害性を示さなかった。COX-1阻害は胃腸運動の亢進、腸内細菌の粘膜内への浸潤を惹起し、胃腸粘膜におけるCOX-2 mRNAの誘導を引き起こした。COX-1阻害薬とCOX-2阻害薬の同時投与により胃腸傷害が惹起されること、COX-1阻害薬投与6時間以降においてCOX-2由来のPG産生が確認されることから、COX-2由来のPGが損傷の発生を抑制していることが示唆される。さらに、COX-1阻害薬投与時に胃腸粘膜におけるMPO活性は上昇せず、COX-2阻害薬を同時に投与した際にはMPO活性の有意な上昇が認められたことから、COX-2由来のPGは好中球活性化を抑制し、損傷の発生を防いでいる可能性が推察された。COX-1阻害後のCOX-2の誘導は胃においては抗コリン薬により、小腸においては抗生物質および抗コリン薬の投与により抑制されたことから、COX-1阻害後のCOX-2誘導には胃腸運動の亢進が関与しており、小腸においては腸内細菌も重要な役割を果たしていることが示唆された。 2.L-NAMEの投与はCOX-1阻害薬と同様に小腸運動の亢進、腸内細菌の粘膜内への浸潤を惹起し、小腸粘膜においてCOX-2を誘導させた。L-NAMEとCOX-2阻害薬の同時投与は、COX-1とCOX-2を同時に阻害した際と同様の小腸傷害を惹起した。この小腸傷害の発生は抗生物質および抗コリン薬の投与により有意に抑制され、L-NAME投与後のCOX-2発現もこれら薬物により阻害された。これらの結果から、cNOSが阻害された様な生体にとって悪条件では小腸においてCOX-2が誘導され、そのような状況ではCOX-2選択的阻害薬も小腸に対し有害な作用を有することが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akiko Tanaka, Matsumoto Masahiro, Yujiro Hayashi, Koji Takeuchi: "Functional Mechanism Underlying COX-2 Expression in Rat Small Intestine Following Administration of Indomethacin : Relation to Intestinal Hypermotility."J Gastroentrol Hepatol. (in press). (2004)
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[Publications] Koji Takeuchi, Akiko Tanaka, Ryoko Ohno, Masahiro Matsumoto: "COX inhibition and NSAID-induced gastric damage."Pharmacol Res Trend. 6. 69-81 (2003)
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[Publications] Akiko Tanaka, Masahiro Matsumoto, Akari Nakagiri, Shinichi Kato, Koji Takeuchi: "NSAID-induced small intestinal damage : Role of COX inhibition."Inflammopharmacology. 10. 313-325 (2003)
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[Publications] Ludmila Filaretova, Yusaku Komoike, Akiko Tanaka, Koji Takeuchi: "COX-2 inhibitor induces gastric mucosal damage in adrenalectomized rats."Inflammopharmacology. 10. 413-422 (2003)
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[Publications] Ryoko Ohno, Tohru Miyazawa, Yujiro Hayashi, Kenji Kanatsu, Akiko Tanaka, Koji Takeuchi: "Induction of intestinal damage by the selective COX-2 inhibitor under inhibition of NO production in rats."Inflammopharmacology. 10. 435-447 (2003)