2003 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の微細環境決定因子としてのTGF-β1結合蛋白と悪性度の評価
Project/Area Number |
15790283
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
東 朋美 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (20293342)
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Keywords | LTBP-1 / TGF-β1 / 卵巣癌 / 一塩基変異 / 転写調節 |
Research Abstract |
[研究目的]女性のライフスタイル変化や,社会問題化している内分泌撹乱化学物質は卵巣癌のリスクファクターであり,卵巣癌は近年増加傾向にある。TGF-β1(transforming growth factor β1)は多くの癌細胞において発現増加し,予後の悪さと相関するが,なぜ発現増加に至るのか未だ不明である。我々は過剰発現するTGF-β31を細胞外へ分泌するキャリアー蛋白LTBP-1(latent TGF-β binding protein1)に注目し,卵巣癌組織でLTBP-1の2種類のサブタイプLTBP-1S(short)とLTBP-1L(long)のうちLTBP-1LのみがTGF-β1と同時に顕著に発現増強していることを初めて見いだした。本研究課題ではLTBP-1L発現増強メカニズムやその生理学的意義の解明を目的として,プロモーター領域の解析を行った。 [方法と結果]両サブタイプのプロモーターについて5'端から順に配列を欠失させた遺伝子断片をレポーター遺伝子発現ベクターに組み込んだプラスミドを構築し,プロモーター活性を調べたところ,LTBP-1Lプロモーターのみで活性が見られ,転写活性化に必要な領域を約300bpの範囲に特定した。さらにシークエンス解析により,この活性化領域内と領域より下流の5'非翻訳領域内に癌組織特有の一塩基変異が同時に検出されることを見いだした(未発表)。 [考察]LTBP-1SとLTBP-1Lの発現調節は転写レベルで調節されていることが明らかになった。LTBP-1Lプロモーターの転写活性化領域内で癌組織特有に検出された2つの変異がLTBP-1L発現増強や疾患に関与している可能性が示唆された。これらの変異と転写調節因子の関与についてさらに調節機構を明らかにしていく。
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