2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本における地域別がん死亡率の将来予測とマッピング・動的表示によるトレンド分析
Project/Area Number |
15790305
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 康仁 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30349774)
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Keywords | がん死亡率 / 将来予測 / 数理モデル / 疾病地図 / 栄養関連指標 / 刈り込み重回帰分析 / グラフィカルモデリング |
Research Abstract |
【背景】都道府県別、臓器別のがん年齢調整死亡率を観察すると、地域により大きな違いがあることが分かる。我々は、この都道府県による背景要因の違いを適当な数理モデルとして表現することにより、わが国における消化器系がん死亡危険度の地理分布を説明できるのではないかと考えた。 【目的】本研究の目的は、都道府県別栄養関連指標を用いて、消化器系がん死亡危険度と各種背景要因との関連性に関する数理モデルの構築を行なうことである。 【方法】[使用したデータ]がん死亡危険度の指標としては、1999年での臓器別(胃、結腸、直腸、膵臓)SMRを使用した。栄養については、1995-99年における国民栄養調査結果の集計値を使用した。また本研究では、栄養的に偏った人の割合とがん死亡危険度との関連性ついても検討した。[解析方法]刈り込み重回帰分析を行い説明変数の絞り込みを行った。その後、変数間の因果構造を探索するため、グラフィカルモデリングによる検討を行なった。 【結果】刈り込み重回帰分析による解析結果のうち、モデルに取り込まれた栄養に関して検討すると、栄養(下側)の方がモデルのあてはまりが良かったものは、男性胃がん、男女性胃がん、男女性結腸がん、男性直腸がん、女性直腸がん、男女性直腸がんであった。栄養(平均)の方がモデルのあてはまりが良かったものは、男性結腸がん、女性結腸がんであった。グラフィカルモデリングの結果、胃がん、結腸がんおよび直腸がんにおいては、病院数との間に乗法的な関係が見られた。膵臓がんでは、総合的社会指標の第3主成分との間に乗法的な関係が見られた。 【結論】本研究により、栄養関連指標を用いた消化器系がん死亡に関するモデルの構築を行うことができた。今回開発したモデルを利用することにより、消化器系がん死亡危険度の動向に関する精度の高い将来予測を行うことができるものと考える。
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